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在韓記者の目

Posted October. 19, 2000 15:15,   

10月前半の記事を検討していた10月13日。韓国の金大中(キム・デジュン)大統領のノーベル平和賞授賞のニュースが飛び込んできました。読者の皆さんがご存知のように、金大中大統領は韓国の首脳として初めて 平壌(ピョンヤン)を訪問し、南北首脳会談を成功させませした。その後、離散家族の南北相互訪問が実現するなど、世界でもっとも注目される国家元首であることは疑う余地がありません。

余談ではありますが、これまで実生活が謎とされていた金正日(キン・ジョンイルに関しては、否定的な意見ばかりが報道されていましたが、彼の肉声を聞いて、彼も同じ人間なんだと、当たり前の事を妙に実感したのを憶えています。

歴史上もっとも南北の雪解けムードが盛り上がっている現在、韓国の今を伝える東亜日報の外国語版の役目は、より重要なものになると思います。

内容

先月の話題の中心がオリンピックであったのですが、今月はたくさんの文化イベントがありました。特に釜山国際映画祭は、準備段階から釜山の街の様子を伝えてくれ、映画ファンとしても読んでいて楽しい記事でした。贅沢な注文かもしれませんが、釜山に来た日本人をはじめとする、外国人ゲストの紹介や話題となった作品を紹介や、クロージングでの受賞結果を報じてくれれば、よ臨場感のある記事になったと思います。

韓国の風情が覗えるニュースでは、10月3日付で報道された『開天節の天祭』や10月6日付の『外国人ハングル白日場(ベクイルジャン)行なれ』などでしょう。ソウルの夜空を飾った10月9日付の『第1回ソウル花火祝祭』はすばらしい写真と共に、今の韓国での文化を伝える格好の素材です。

社会面で最も印象深かったのは10月5日付『「同姓同本(籍)」禁婚制を廃止』の記事です。日本では四親等、つまり従兄弟から法的に結婚できますが、これまでの韓国では、どんなに血が遠くても何十代も前の祖先が同じであれば結婚できませんでした。同姓同本のため韓国での結婚が叶わず、カナダ国籍を取って海外で結婚した友人もいたせいか、当事者でないにもかかわらず嬉しくなるニュースでした。そして、「同姓同本婚姻禁止制度」に代わりに「近親婚姻禁止制度」が採用され、直系は八親等、親類は六親等以内の婚姻の禁止が明記されたようですね。

宗教関係では、10月11日付『ダライ・ラマ』を韓国にではないでしょうか。ダライ・ラマはチベットからインドに亡命している状態です。東亜漫評にも掲載されていましたが、韓国はチベットを統治している中国との関係もあり、今後の展開が注目される内容です。

10月9日付『「韓国社会、暮らしづらい」74%』は韓国人が韓国社会での生活をどのように捉えているかを物語る興味深い記事でした。記事の内容も簡潔かつ詳細で、よくまとめられていると思います。

経済面では、連日報道されている「大宇自動車売却問題」が主要ニュースでしょう。日韓関係では『対日貿易赤字増加傾向を示す』では、日韓の貿易量が増加していると報じています。ちょっと変わったニュースでは10月6日付『「ワールドサイバーゲームチャレンジ」が龍仁で開幕』ではなでしょうか。ゲーム振興ということで経済面で取り上げられたのでしょうが、いわゆるお堅い記事が多い経済面の中ではユニークです

政治面のトップは先にも述べた『金大中大統領ノーベル賞受賞』のニュースですが、平和的なムードとは逆に、今月前半はちょっときな臭いニュースもありました。10月5日付『北朝鮮に派遣された工作員』では、金在洪(キム・ジェホン)論説委員が124軍部隊事件を取り上げた後、南から北へ派遣した工作員の遺族への補償問題について論じています。翌10月6日付『北に派遣の工作員遺族12人に保証金月60万ウォンずつ支給』では、1950年代に北朝鮮に派遣した工作員のうち、生還者12人に対し毎月60万ウォンを支給するという記事を掲載しました。死亡、および行方不明5576人であることからも、生還率の低さが覗えます。平和ボケともいえる現在、韓国北朝鮮が分断国家であることを再認識させられる記事です。

スポーツ面は、オリンピックが終わり、関心は国体へと移っていますが、日本人には興味深い記事がふたつありました。10月3日付『ク・デソン、通算14人目1000奪三振』と10月10日付『チョン・ミンテ100勝』でしょう。ク・デソンは韓国最高の左腕として、オリンピックでは日本の松阪と投げ合い、韓国に勝利をもたらしました。一方のチョン・ミンテは、昨年巨人が獲得に失敗した投手として知られています。韓国プロ野球界で、海外進出がもっとも噂されるふたりだけに、これらの記事は日本のプロ野球ファンにふたりを印象付けるのに十分でしょう。

スポーツ面ではないのですが、文化面の記事の中で、10月4日付『キム・ビョンホン、CF撮影現場にUFO』は写真と共にアップされ、ユニークです。

翻訳

前回触れた意味不明の「文化落z」については、アップデートの過程で生じるシステム上の問題であるとの連絡がありました。システム上の問題であるのは仕方ないとしても、多くの人々が読む新聞という性格上、早急の改善が望まれます。それにしても、このような誤植(?)をアップデート後に直すことはできないのでしょうか。過去の記事を読むときも、誤植がそのままになっている記事を見かけます。

今月の記事も翻訳のレベルにバラツキが見られました。翻訳記事の中でもレベルに達しているのが10月5日付『[コラム] 韓国を困らせている北朝鮮』だと思います。コラムという性格上堅さは残りますが、一気に読める記事でした。新聞記事の性格上、万人が理解できる内容が求められます。読者が読み返さなくてすむ文章が、新聞記事が必要とする文章です。

今回も外来語の翻訳に苦労している記事がありました。いくつかを紹介すると以下のようになります。

10月8日付『LGカップサッカー:韓国、濠に逆転勝ち』

 アラブ連合 −> アラブ首長国連邦

 ドゥバイ  −> ドバイ

10月6日付『黄金の腕、破れる』

 セイントルイス −>セントルイス

 カディナルス  −>カージナルス

 

10月6日付『「ワールドサイバーチャレンジ」が龍仁で開幕』

 スタークレプト −> スタークラフト

 フィーファ   −> フィファ、日本ではFIFAと表記

元ネタが韓国語であるため、つられて韓国風カタカナ言葉になった例だと思われます。

誤訳とは言えないかもしれませんが、『黄金の腕、破れる』の本文の中で「がっかりした表情」よりも「がっくり」としたほうが投手の落胆ぶりを表せるのでは。

表記部分で統一したほうがよいと思われる表記もあります。10月9日付『朝米連絡事務所の開設協議』ですが、10月12日付『「北—米国修交は時間の問題」:金大統領表明』です。日本のメディアでは「米朝」と表記していますが、韓国のメディアである点を勘案すると「朝米」に表記を統一したほうがよいのではないでしょうか。

今回もっとも「?」と思った記事が10月11日付『「花の都」のお誕生日パーティー』でしょう。「お誕生日パーティー」という表記は、子供のお誕生会というイメージがします。ここは「誕生セレモニー」としたほうがよかったのではないでしょうか。本文の中でも『ウムソンの「花の都」を10年連続して尋ねている…』も訪ねるの間違いです。本文の中でも「お誕生日会」としていますが、なるべくこのような表現は避けたほうがいいでしょう。

デザイン

デザインではないのですが、機能面で便利なものがあります。データサーチサービスは、日本の新聞サイトでは有料サービスであるだけに、無料でこのようなサービスを利用できるのは、Donga.comの長所であると思います。

贅沢を言えば、単語入力で記事をサーチする機能があればいいですけどね。

デザインといえるかはわかりませんが、10月13日付の『今年のノーベル平和賞受賞者』という見出しは金大中大統領であることを明確に表記したほうがよかったのではないでしょうか。見出しをクリックして、金大統領の過去の写真であることがわかったのですが、何だかクイズのようですね。