三星(サムスン)電子のイ・ギョンジュ部長は最近、気が気ではない。ニンニク騒動の波紋で会社経営に赤信号が灯ったからである。イ部長は三星電子で携帯電話の輸出を担当している。また中国通でもある。彼は先月初めまでは大はしゃぎだった。人口12億の無限ともといえる潜在力を持つ中国市場を相手に仕事ができたからだ。
6月7日、突然の出来事だった。中国の通商当局が、韓国製携帯電話機の輸入禁止措置を下したのだ。これで三星電子は大きな危機をむかえている。中国に輸出するために生産しておいた携帯電話機が倉庫に積み上げられた。責任者であるイ部長としては食事ものどを通らない日々だ。会社側からは何も言ってこないが、まるで自分が市場予測を間違っていたようできまりが悪い。倉庫にホコリと同時にイ部長の心配も積もってゆく。
さらに歯がゆいことに自分の力ではどうしようもないという事実だ。三星電子の内部問題なら命を懸けてでも北京に乗り込むだろう。しかし今回の禁輸措置は韓国と中国の政府間で生じた通商摩擦だ。一介の企業人の力ではどうこうできる事ではない。韓国政府が中国産ニンニクに高率の関税をかけると、中国は対抗して携帯電話とポリエステルの無期限輸入禁止措置を下したのである。
イ部長は当局に対して紛争を速やかに解決してくれと哀願した。イ部長だけではない。石油化学と携帯電話の生産業者はすべからく損害を被っている。ポリエステルを生産して中国に輸出している8業者中、一部はすでに在庫が山積みだ。テハンユーファは中国側の禁輸措置で先月15日から生産量を20%落しており、すぐにでも50%まで落さなければならない状況だ。SK(株)も来月初めから減産体勢に入る計画だ。この会社が中国の輸入業者から支払われていないお金は220万ドル。中国にPEを販売している国内繊維業者が中国輸出のために船積みした後、禁輸措置で埠頭に留まっている分量だけでも2万t以上だ。国内繊維業者の中にはPEの全生産量の中国輸出比率が最高60%を越える業者もあり、中国の輸入禁止措置が長期化すると工場閉鎖の事態も懸念される。
中国に携帯電話を輸出してきた三星電子の場合は、禁輸措置後、工場稼働率が10%ほど落ち、10万台(2500万ドル)ほど売り上げの停滞が起きている。LG情報通信関係者もニンニク紛争の余波で次世代移動通信方式に関する中国との協商も滞っているなど、今後さらに大きな被害が懸念されるという。通商当局は業界のこの苦痛をしっかり把握しているのか。この痛みはまさに国家経済の沈滞につながることも考えなければならない。






