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李在明氏襲撃、嫌悪政治が招いたテロ

Posted January. 03, 2024 08:13,   

Updated January. 03, 2024 08:13

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最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表が2日、新年初の日程で釜山(プサン)の加徳島(カドクト)新空港の予定地を訪れた際、襲撃を受けた。60、70代と思われる容疑者は、青い紙の冠に「私が李在明だ」と書いてサインをほしいと近づき、李氏の首をナイフで刺した。李氏は現場で応急処置を受けた後、ソウル大学病院に搬送され、治療を受けている。現在のところ命に別状はないという。

現職の野党代表に対するテロは初めてだ。韓国ももはや政治テロの無風地帯ではない。2006年には朴槿恵(パク・クンヘ)ハンナラ党代表(当時)が、呉世勲(オ・セフン)ソウル市長候補の応援演説の際、カッターで切りつけられ、今も顔に10センチほどの手術跡がある。22年には、「共に民主党」代表だった宋永吉(ソン・ヨンギル)氏が、李在明大統領候補の遊説中に鈍器で頭部を殴られた。刃物や鈍器でなくても、拳で殴られたり、卵を投げつけられたりしたことも含めると頻度が多い。民主政治に対する深刻な脅威と言わざるを得ない。

容疑者は忠清南道(チュンチョンナムド)に住む60代というが、犯行の動機は確認されていない。犯行動機と背後を徹底的に解明し、厳正な処罰が必要であることは言うまでもない。ただし、予断なく捜査しなければならない。朴氏に対するテロの犯人は、予想通りハンナラ党に敵対的な人物だったが、宋氏のテロ犯は意外にも「終戦宣言」を主張した極左のユーチューバーだった。どちらも背後はいなかった。

背後がいれば実に深刻なことであり、背後がいなくても嫌悪の感情が制御できないほど広がっていることを意味するので、深刻なのは同じだ。韓国は「下からの政治」が活性化するにつれて、むしろ政治的対立が葛藤を越えて嫌悪に流れる傾向が強くなった。今日の政治家の中には、葛藤を調整して統合に至ることが政治の課題であることを全く認識していない人も少なくないようだ。彼らは支持者を説得するのではなく、支持者に迎合し、嫌悪を助長することを率先している。

普段ならともかく、新年は「徳談(祝福の言葉)」を交わすものだが、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と李氏は新年の挨拶から尖っていた。尹大統領は、「自分たちだけの利権と理念に基盤を置いた集団カルテルを必ず打破する」とし、李氏は「刃物で人を殺すのと誤った統治で人を殺すのは違いがない」と述べた。総選挙が近づくにつれ、政治的対立は激化するばかりだ。新年早々に起きたテロ事件が、与野党共に責任がないわけではない嫌悪の政治にブレーキをかける契機にならなければならない。