金正恩氏「建国以来の大動乱だ」、北朝鮮のコロナ新規感染者３０万人

北朝鮮内の新型コロナウイルス感染の有症状者が連日急増している。金正恩（キム・ジョンウン）総書記は、「建国以来の大動乱だ」と危機感を示した。韓国政府は早ければ今週にも、ワクチンや医療用品などの支援を北朝鮮側に提案する方針だが、正恩氏がこれを受け入れるかどうかは未知数だ。ただし、北朝鮮内の住民の動揺が地域単位で広がっており、統制不可能な状況になる場合、感染防止対策支援を通じて南北対話の糸口が見出される可能性があるという観測も流れている。

　

北朝鮮官営メディアによると、発熱の症状が確認された人の数が１万８千人（１２日）→１７万４４００人（１３日）→２９万６１８０人（１３日夕方～１４日午後６時）と急増傾向にある。自宅検査キットなどが不十分で、「感染者」ではなく「発熱者」と表現するほど感染かどうか確認も十分にできない北朝鮮の内部事情を考えると、実際の感染者ははるかに多いものと予想される。北朝鮮内の累計死者数も１４日までに４２人にのぼった。北朝鮮の新型コロナウイルス感染の現況について、高麗（コリョ）大学九老（クロ）病院感染内科の金宇柱（キム・ウジュ）教授は、「コロナ事態初期の中国武漢市のように致死率が３～５％になるだろう」と分析した。カトリック大学医学部の白舜英（ペク・スンヨン）（微生物学教室）は、「２、３ヵ月内に北朝鮮の全人口の６０～７０％が感染するだろう」と見通した。

　

正恩氏は１４日、政治局協議会を開き、現状況を「大動乱」としながらも、「地域間の統制不能な状況ではない」と強調した。当分の間、外部の支援ではなく封鎖中心の社会的統制で対応する方針を示唆したのだ。しかし、国際的支援なく持ちこたえることは難しいという観測も流れている。実際、北朝鮮の朝鮮中央通信が、「薬品使用の不注意による死者が大きな割合を占めている」と伝えるなど、北朝鮮内の状況は混乱しているようだ。政府当局者も１５日、東亜（トンア）日報の電話取材に対して、「北朝鮮内の住民の動揺を今週初めに確認した」とし、「北朝鮮軍の動向などとも関連するため、内部状況を注視している」と明らかにした。


申晋宇 niceshin@donga.com