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出口見えない「砂漠のハブ」、見取り図に埃だけが…その後のドバイを行く

出口見えない「砂漠のハブ」、見取り図に埃だけが…その後のドバイを行く

Posted October. 19, 2010 08:06,   

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埃まみれの見取り図から、巨大な椰子の木形の人工島を目にできなかったら、ここが1年前まで、世界から「想像力の極み」という賛辞を受けた「パームアイルランド」建設現場だったことに気付かないだろう。11日(現地時間)、アラブ首長国連邦・ドバイの「パームアイルランド」建設現場。

4635万平方メートルもある海を埋め立て、世界最高級の観光レジャー施設や高級居住地を建設しようとしたここには、開発の轟音の代わりに、寒々とした空気だけが漂っている。いくつかの敷地造成や埋め立て工事だけが進み、様々な建設機器は、誇りまみれのまま止まっている。工事資材もあちこちに散乱している。海風と砂漠からの砂風と共に出す音だけがけたたましかった。

パームアイルランドから車で約40分、到着した「ドバイランド」建設現場。砂漠の真ん中に、ディズニーランドの約8倍の大きさの世界最大テーマパークの造成現場には、アトラクションや動物園、ショッピングセンター、ホテルなどテーマパーク向け施設は見当たらなかった。ドバイランドと書かれた看板がある大きな入り口が、ここがただ捨てられた砂漠でないことを物語っている。

先月26日、ドバイのシェイク・マクトゥーム・アル・マクトゥーム統治者は、米ケンタッキー州で行われた乗馬大会に参加し、「我々(ドバイ)が戻ってきた」と述べた。昨年11月25日、無謀な開発戦略で、資金難に苦しんだドバイ財務省が、最大手の国営会社「ドバイワールド」やその子会社「ナヒール」の債務返済を6ヵ月猶予するよう要請したことで起きた「ドバイショック」から、ついに脱したことを宣言した。

しかし、記者が見て回ったドバイの「世界初、世界最高」の開発プロジェクト現場は、依然、そのショックから脱せずにいる。

●経済原則を無視した無謀な開発に反省

「ドバイは、『需要のあるところに供給はある』という経済学の基本原則に従わなかった。革新的な開発戦略やビジョンを示した後、外部から投資を誘致し、インフラを整備すれば、需要はおのずとついてくるものだと、ばら色の考えだけを持っていた」

中東の代表的なシンクタンクの一つであるガルフ・リサーチセンター(GRC)のサミール・プラダン首席研究委員は、「これまでドバイが成し遂げた成果は、決して『砂の城』ではないが、まだ危機は終わっておらず、ドバイは過度に破格的な開発戦略を見直さなければならない」と強調した。ドバイ市内の高層ビル11階にある氏の研究室の窓越しに、多くの大型工事現場が見えた。その大半は、クレーンが止まった工事現場だった。

ドバイの代表的な超高層ビル密集地域であるビジネスベイは、危機脱出からかけ離れている様子だった。様々なデザインを誇るビル建設現場の多くが、止まっていた。国内のある建設会社が、最近調査した結果によると、ビジネスベイで現在、工事が始まっている建物は計115件で、そのうち57件(49.6%)は工事中止となっている。同社の関係者は、「工事計画はあるが、まだ着工すらしていない建物も、100件ぐらいある」とし、「ドバイ政府は、当初12〜13年頃に、ビジネスベイ地域大半を完成する計画だったが、現状では、いつ完成するか見当すらつかない」と話した。

現地の大手都市銀行であるアブダビ国立銀行(NBAD)のギヤス・ゴケント首席エコノミストは、「ドバイが、観光・文化産業と大型不動産開発を新たな成長エンジンに決めたことまではよかったが、開発スピードや規模、特に、安定的な開発を推進する方法に問題が多かった」と指摘した。

●後で気付いた法治や透明性の重要性

ドバイショックに見舞われてから、ドバイの開発戦略に劣らぬほど、行政上の手続きや政府の透明性も、頻繁に話題に上った。ドバイがうまく進んだ時には、それほど取り上げられなかったものの、危機に見舞われ、「国際的なハブに成長するには、世界標準に及ばない部分が余りにも多い」という批判が、引き続き、持ち上がっている。

まず、ほとんどの中東諸国は、政府が経済成長率や不動産価格の推移、負債比率のような基本的な経済統計資料すら定期的に発表していないが、ドバイも例外ではない。一部の経済統計は、最初から作成すらしていない。ドバイ政府が、進める様々な開発プロジェクトの現状や今後の計画も、同様に定期的に発表していない。

グローバル不動産コンサルティング会社であるCBREのマシュー・グリーン・リサーチチーム長は、「ドバイで信頼できる経済統計を手にするのは、本当に難しく厳しい」と主張し、「透明性不足の問題は、ドバイが投資家から再び信頼を得るためには、必ず解決しなければならない問題だ」と指摘した。

KOTRAドバイKBCセンターの関係者は、「様々な行政手続きや業務のやり方が、他の中東地域の国々よりは合理的かつ迅速なほうだが、全般的なレベルは、まだ世界標準には大幅に達していない」と話した。

ドバイ政府の関連機関も、透明性に問題のあることを認めている。ドバイ金融監督庁のポール・コスター庁長は、「かつてよりはよくなったものの、依然、ドバイ政府の透明性は、世界標準に及んでいないのが現状だ」と述べ、「ドバイは今回の危機をきっかけに、経済指標や政策の透明性が、どれだけ重要なのか認識し、これを改善する案について悩んでいる」と語った。

●指導者一人が頑張っても、経済発展は難しい

しかし、最近の危機を経験し、ドバイの至るところで成熟している様子も現れている。もはや、ドバイは、創意力や革新という名に隠れ、「とりあえずやってみよう」という無謀なプロジェクト推進は間違っていることに気付いている。地元で建設会社を経営しているアール・オムランさん(33)は、「絶対00年代前半や半ばの姿に戻ってはならないというのが、危機から得た教訓だ」とし、「挑戦的な開発を経験しただけに、これからは安定的な開発を経験しなければならない」と話した。

地元の人々の間では、ドバイ経済や社会構造が持っている弱みについて悩み始めている。特に、150万人の人口のうち、約20%に過ぎない純粋なドバイ人は、政府から支援金だけ受け取り、しっかり働かず、楽に暮らしているのが問題だという指摘が、本格的に持ち上がっている。

ドバイ最大手の新聞社であるガルフニュースの経済担当エディター、サイプル・ラーマン氏は、「行政やメディアのような社会の中核セクターでは、過度に人材が不足している」とし、「政府でも、そのことを認識し、最近、教育熱を高め、国レベルで社会の中核分野で活躍できるエリート育成案に頭を悩ましている」と話した。



turtle@donga.com