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[オピニオン] でたらめな太極旗

Posted October. 03, 2003 23:23,   

他国の国旗は描きやすい。1、2種類の色で模様も簡単だからだ。それに比べると、韓国の国旗である太極旗(テグクキ)は構成と模様がかなり複雑だ。「太極旗を描いて見ろ」という試験問題を出したら、間違って描く人が少なくないだろう。一番難しいところが太極文様の外側、四つの角に描く4卦の模様と配置だ。4卦がそれぞれ象徴する意味も難しい。このうち、乾は空・春・東側、坤は地・夏・西側、離は日・秋・南側、坎は月・冬・北を意味する。

◆朝鮮(チョソン)時代末、高宗(コジョン、第26代王)時代に初めて作られた国旗は、これよりもっと複雑だったという。赤・青・黄の3太極を中心に周りに8卦を描いた。それが1882年、朴泳孝(パク・ヨンヒョ)一行が日本に修信使として行く船の中で、これを太極文様に4卦がある形に修正して宿所に掲げた。これが太極旗の始まりだ。以後構図や製作方式で数回の変遷を経て、今日に至った。このように複雑で意味も難しいためか、これまで太極旗が私たちに与える感じは厳粛で敬虔であった。そのためむやみに触ったり、くしゃくしゃにしたりしてはならないし、汚くなれば洗う代わりにきれいに燃やさなければならなかった。

◆それほど厳粛な太極旗が、人々に親しみを持って迎えられたのは昨年のワールドカップ(W杯)の時だ。韓国戦が行われる度に、太極旗が応援用のスカート、ズボン、マント、頭巾などに大胆に使われたのだ。その前までは、競技場には手旗だけが登場し、太極旗の衣装などは考えられないことだった。神聖不可侵の領域の一つだった太極旗が、日常生活の中に入ってきたのだ。このため、太極旗服の製造会社が好調だったとか。今でも韓国戦が行われる競技場では、太極旗衣装を着たサポーターが多く見られる。

◆しかし、いくら太極旗が私たちに「身近な品」になったとしても、基本的に守ることは守らなければならない。ほこりと煤煙で垢じみ、白い布地が黒く変わった太極旗が街路にそのまま放置されたり、間違って描かれた太極旗が堂々とかかっていたりすることがあってはならない。一昨日の国軍の日、大統領の乗った査閲車にそんなでたらめな太極旗が掲揚されることはあってはならないことだ。国の守護に一寸の誤差もあってはならない軍人が、大統領参加行事でそのような間違いをするのは失望だ。たとえ大統領車ではないとしても、問題がないかを綿密にチェックすべきだった。「大統領車のでたらめな太極旗」が、どれ一つとしてうまく行かない、最近の世相を象徴しているようで気が重い。

宋煐彦(ソン・ヨンオン)論説委員 youngeon@donga.com