全世界にわたって使用者が爆発的に増加している全地球測位システム(GPS)の市場をめぐって、米国と欧州の取り合い合戦が激化している。
GPSは、軍事的用途のほか、日常生活でも広く使われており、水、石油、電気、通信に続き、5番目の「生活必需品」とまで呼ばれているが、米国防総省が統制権を100%独占している。
これによって、欧州連合(EU)は、米国のGPSに対抗し、独自の衛星航法システムを構築しようとしており、米国では、欧州の挑戦に備えるための特別対策を講じるよう促す声が高まっている。
すでに、昨年36億ドル(約4兆3200億ウォン)の予算案を策定したにもかかわらず、参加持ち分などをめぐって対立してきたEU加盟の15ヵ国は、今年5月末「ガリレオ」と名付けられた独自のシステムを構築することで劇的に合意したことがある。これを受けて、欧州宇宙機関(ESA)は、最近08年までをメドに、30の人工衛星を打ち上げるのを目指しており、具体的な作業に乗り出した。
これについて、米時事誌のフォーリン・アフェアズの最新号(7、8月号)は「米国と欧州の間に、もう一つの紛争が、空を舞台に始まりつつある」とし「米国がガリレオ計画を封鎖することはできないとしても、GPSの性能を画期的に改善し、欧州に応戦しなければならない」と呼びかけた。
現在、米国内では「ガリレオが稼働すれば、GPSと電波が入り乱れる可能性がある」「ガリレオの開放性によって、安保に危険が招かれるかもしれない」など、様々な懸念の声が出ている。はなはだしきは、妨害電波を発射すべきだとの主張まで聞かれる。
しかし、EUは、米国が軍事・外交的な目的のため、いつでも特定地域でのGPSサービスの供給を中止できるため、独自のシステムが必要だとの立場を示している。経済的な側面からも、これ以上無防備なまま見守っているわけにはいかないというのが、EU関係者たちの見方だ。
1978年に稼働を開始したGPSは、83年の大韓航空機撃墜事件を契機とし民間に開放された。現在、GPS使用者の民間人と軍人の割合は100対1で、民間需要が圧倒的に多い。GPS使用料の収入も毎年20%ずつ増加しており、昨年には120億ドル(約14兆ウォン)にのぼった。
李基洪 sechepa@donga.com