Go to contents

[オピニオン]漢字がどうしたというんだ

Posted October. 01, 2002 23:24,   

教育現場で子どもたちと父母たちが見せてくれる機敏な反応には驚くべきものがある。最近、漢字の早期教育を導入する問題をめぐり学界で論争に火がついているが、子どもたちは、それと関係なくすでに漢字学習を始めている。11月に行われる漢字検定能力試験には20万人の小学生が大挙受験し、漢字学習の熱風が吹いているという。中国語の地位が急上昇したうえ、2005年度の修学能力試験(日本のセンター試験に当たる)から漢文科目が入ったのが背景にある。英語も、公用化をめぐる論議や早期教育を行うべきかどうかをめぐって学者たちが議論を繰り広げている間に、いつのまにか幼児にとってまで英語は必修課目になってしまった。

◆誰が何と騒いでいようと、必要なものであれば必ず習い教えるという「自分流」の教育方法だ。彼らに、漢字の早期教育が良くない理由を長く挙げてみたところで、返ってくる返答は、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)女性応援団たちがよく口にする「いいですよ」程度だろう。このような現象は、公教育に対する不信感を反映したものだが、社会の変化速度が速すぎるため、教育政策が変わるのを待っている余裕がないからでもある。「人間」を育てる教育で、市場論理は警戒すべき対象だ。だが激しい競争の時代に、教育消費者たちが「未来の効用価値」という市場を意識するのも止むを得ない現実だ。

◆漢字教育問題だけを取っても、政府のちぐはぐな漢字政策で数多くの「漢字文盲」が量産された。最近、中国語を習おうとする若者たちは、漢字を知らないがためにかなり困っているようだ。親子の会話でも、子女たちが漢字を知らないがために生じる世代間の断絶が少なくない。地下鉄2号線の「教大」(キョデ、教育大)駅を乗り換えを意味する「交代」(キョデ)駅と勘違いしている人もいるという。韓国語は70%が漢字語でできているため、漢字が分かれば韓国語を理解する上でも大きく役立つ。いろいろな面で使い道の多い漢字を、使い古びた靴を捨てるように退場させたのは、極端に誤った政策だった。

◆漢字を生活の中で使っている東アジアの国々も、漢字がために強いられる困難がそれなりにはある。コンピュータ作業で漢字を打ち込むのは、スピードや効率の面で落ちる。中国と日本が情報化に遅れをとった理由も、漢字の非効率性のためだとも指摘されている。しかし、このほどの漢字教育論は、漢字を再び使おうというものではなく韓国語が分かるための道具として習おうというものだと理解している。いずれにしても「コンピュータの世の中」で不便なものは自然な形で整理されていくものだ。いざ心配なものは、公教育が私教育に主導権を奪われている現状だ。年末の大統領選を戦う候補たちが、競って「教育大統領」になると大声を張り上げているが、当選後に今の「慢性病」を治すことができるだろうか、気になる。

洪賛植(ホン・チャンシク)論説委員 chansik@donga.com