「インターネットの哲学は『情報の共有』じゃないんですか?ワレズはこの精神にもっとも忠実なネチズン(ネットユーザー)の自律的運動ですよ」。(ワレズ保護サイト イッパイ・ドット・コム運営者)
「ワレズサイトは、知的財産権を侵害する癌のような存在です。これを撲滅するために総力を尽くすつもりです」。(マイクロソフトコリア関係者)
今、ワレズサイトでインターネットが熱い。ワレズはサイバーワールドの「悪の巣窟」。いわゆるアダルト動画、「Diablo2」、「Kingdom Under Fire」などの不正コピーゲームソフト、日本のアニメーション、有名歌手のMP3ファイルなどをやり取りする場所。中には現在公開中の映画「ハート・オブ・ウーマン」、「ファミリーマン」、「東京日和」などもアップロードされている。
しかし業界にとっては明らかに悩みの種。あるゲーム開発業者は、ワレズのせいで国内での売り上げが海外販売の10分の1程度に留まり、国内市場を放棄するところにまで至っている。
▽ワレズの実態
ワレズは全世界的な現象だが、韓国は特に発達している。隠密に共有するワレズの特性上、関連サイトが正確にいくつあるのかは公式的には調査できていない。しかし専門家らは、国内だけで少なくとも数千のワレズサイトがあるだろうと考えている。検索エンジンのエンパスで「ワレズ」という検索語を入力してみると、実に1400ものワレズ関連サイトがヒットする。この他にもワレズと呼べるサイトが一日に数百もの数で生まれ、そして消えている。
国内のワレズサイトの中で最も有名なところは、「ヘジョク(www.haejuk.co.kr)」だ。ソフトウェア、MP3ファイル、アニメーション、映画、アダルトに関する資料がリンクされている。
「ナルゲダルギ(www.korean21.cc)」、「クールタウン(www.cooltown.co.kr)」も比較的有名で、音楽ファイル専門のワレズとしては「オレンジランド(i.am/orangeland)」なども有名だ。
▽ワレズの影
ワレズによって直接的被害を受ける側は、ソフトウェア開発会社だ。何年もかけて開発したソフトウェアがワレズサイトにアップロードされれば、相対的に売り上げが激減するのは当然だ。Webエディターを開発するナモ・インタラクティブの場合、一つの製品を開発するのにおよそ50億ウォン程度の開発費がかかる。しかしこの会社の製品の70%は、ワレズを通じた不正コピー品だとナモ側は主張している。これによる被害額は400億ウォンを超えるという。他にもタフシステム、ウィザードソフト、ソフトマックスなどのゲーム会社は、少なくとも正規品の5倍
ほどがワレズ等を通じて不正に流通されていると考えている。
情報通信省などの政府当局は、ワレズサイトによるソフトウェア不正コピーの深刻さをある程度は把握しているが、これといった対策を立てることができていない。プログラム審議委員会のカン・ソクチュ情報事業課長は、「取締りができる関連法規もないばかりか、取り締まってもまた次々に出てくるワレズの特性のために、手が付けられない」と話している。
▽ワレズに対する賛成論
ワレズ賛成サイト「イッパイドットコム」の運営者は、「ワレズがなかったらインターネット技術の発展や国内のコンピューターの発展が果たして可能であっただろうか」とし、「これまでの情報技術の発展は、ワレズによって多くの人々が様々なプログラムを共有して利用してきたから可能だった」と主張している。
*ワレズ
「What is it」を略した言葉で、手に入れたい情報を何でも上げるという意味。もともとチャットで使われていた俗語だったが、現在では不正ソフトウェアのダウンロードサイトを指す代名詞となった。ワレズは通常、ネットユーザーの一人が個人ホームページのように開設し、不正にコピーしたソフトウェアなどをアップロードし、他のワレズサイトにリンクする形で運営される。従ってワレズは相互にリンクしながらネズミ算的に増えている。
キム・グワンヒョン記者 kkh@donga.com