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芥川賞作家の市川沙央さん、「李滄東映画『オアシス』に影響を受けた」

芥川賞作家の市川沙央さん、「李滄東映画『オアシス』に影響を受けた」

Posted November. 16, 2023 08:49,   

Updated November. 16, 2023 08:49

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「どうしてそれ(重度障害者の芥川賞受賞)が2023年にもなって初めてなのか。それをみんなに考えてもらいたいと思っております」

今年7月19日、東京で行われた第169回芥川賞の授賞式。受賞者の市川沙央さん(43)は壇上に上がり、こう切り出した。市川さんは首に気管切開のホースをつけ、電動車椅子に乗る。先天性ミオパチーと診断され、顔は片側に傾き、腰は曲がっている。しかし、市川さんは堂々とこう付け加えた。「この小説は、初めて自分自身と正面から向き合って書いた小説です」。

市川さんの自伝的な話を盛り込んだ中編小説『ハンチバック』は日本で出版後、30万部が販売され話題を集め、先月31日に韓国で翻訳出版された。市川さんは15日、東亜(トンア)日報の書面インタビューで、「障害のあるアーティストが注目されるのはなかなかない機会です。カメラの前で挑発的なことを言いたかった」と話した。

新刊は市川さんのような病気を持つ重度障害者の女性、井沢釈華(しゃか)の話だ。釈華は、狭い部屋の中でベッドに横たわり、タブレットPCでインターネットにアダルト小説を書いて暮らしている。釈華はSNSに匿名で、「生まれ変わったら高級娼婦になりたい」「非障害者の女性と同じように妊娠と中絶をしたい」と書き込み、欲望を吐露する。そして、親からもらった財産で、男性ヘルパーとセックスをしようと試みるが、失敗して挫折する。

小説は障害女性の人生と欲望を余すところなく明らかにしたと評価される。「私の身体は、生き抜いた時間の証として破壊されていく」という小説の中の文章は、同情の眼差しでは接近できない、当事者だけが触れることができる深みがある。作品が注目された理由について、市川さんは「私が重度の障害者だから」と言い、「文学は常に新しさを求めているから」とクールに答えた。

小説はまた、「R18」(アダルト小説)、「スーパーダーリン」(女性が理想とする男性)といった日本のネット文化や隠語を積極的に使い、文学的に新鮮だと評価された。市川さんは、「私は長い間(約20年)、時代や社会を素早く反映するライトノベルを書いてきた。純文学の狭く閉ざされた世界に時代のムードを吹き込みたかった」と話した。

市川さんは、李滄東(イ・チャンドン)監督(69)の映画「オアシス」(2002年)に影響を受けたという。障害女性の性と人生を描いた話が自身の創作の源になったということだ。市川さんは、「実はハンセン病、脳性麻痺など、障害を扱った芸術は常に存在した。しかし、障害芸術が主流の芸術界で認められることはあまりない」とし、「重度の障害者は教育を受けたり、読書をしたりするのが難しい。教育や読書を支援する環境がなければ、重度障害のアーティストは生まれない」と指摘した。市川さんは「日本は障害者が読みにくい紙の書籍中心だ。電子書籍(eBook)やオーディオブックの普及が増えれば、障害者が積極的に芸術に参加することができる」と付け加えた。

市川さんはユーモアを込めて言った。

「親愛なる韓国の読者の皆さん。私は(障害のため)家から出ることができませんが、小説でお会いできることを光栄に思います!」


イ・ホジェ記者 hoho@donga.com