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フィッチが米国の格付けを「観察対象」に指定、米両党の対立で世界金融市場が動揺

フィッチが米国の格付けを「観察対象」に指定、米両党の対立で世界金融市場が動揺

Posted May. 26, 2023 08:31,   

Updated May. 26, 2023 08:31

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米連邦政府の負債上限引き上げをめぐる交渉が「崖っぷちでの対峙」を続けると、グローバル格付け会社のフィッチが米国の格付けを「否定的観察対象」に指定した。交渉妥結の状況によって、世界最大の経済国である米国の信用格付けを引き下げることもありうる」と警告したのだ。野党共和党所属のケビン・マッカーシー米下院議長は、交渉に一部進展があると明らかにしたが、米国内での政治対立の激化という「政治リスク」だけでも、グローバル金融市場の状況が影響を受けかねないという事実を示したことになる。米国のジャネット・イエレン財務長官が予告した「Xデー」、すなわち財務省の現金が底をつき、デフォルト(債務不履行)が始まる予定日は6月1日だ。

●フィッチ「政治的対立がデフォルトリスクを高める」

マッカーシー議長は24日(現地時間)、ホワイトハウスと共和党の実務交渉が終わった後、記者団と約13分間会い、「我々は一部進展を遂げ、合意に向かっている」とし、「我々はデフォルトを避けることを固く信じている」と述べた。それと共に、「(執権)民主党は、(急進左派性向の)『バーニー・サンダース党』になっている」とし、民主党批判に相当な時間を割いた。

「交渉が進展している」というマッカーシー議長の発言にもかかわらず、フィッチは、同日の実務交渉直後、米格付けを引き下げる可能性を警告した。米長期外貨建て債券の信用格付けを、現在の最高等級のAAAに維持するものの、否定的な観察対象に上げたのだ。

否定的な観察対象にあげた理由としては、米国の政治対立を挙げた。フィッチは、「否定的観察対象の指定は、米負債限度の引き上げ合意を妨害する政治的対立が高まっている状況を反映したものだ」とし、「依然として負債限度をXデー以前に引き上げると予想しているが、米政府が実質的に一部(負債)の支払いに失敗する可能性が高まっている」と明らかにした。

今年1月19日、負債限度が31兆4000億ドル(約4景1514兆ウォン)に達した米国は、23日現在、財務省の緊急資金保有額が765億ドル(約101兆4000億ウォン)まで落ちている。フィッチは、負債限度を引き上げる前に、Xデーが迫るリスクが高まっているとも警告した。来月1日と2日に満期が到来する国債をはじめ、相当規模の政府支出が集中しており、資金がいつ底をつくか分からないという意味だ。JPモルガンも、米国がXデーを迎える確率を25%まで引き上げた。

フィッチは、「負債限度を巡る崖っぷちの対峙で、米当局が中期的財政問題を意味をもって解決できずにいる点も、米国の格付けの下げるリスクを示している」とし、不安なガバナンスや財政健全性の悪化が、米国に対する信頼を落としかねないと指摘した。

●2011年のグローバル証券市場の動揺の「悪夢」を思い浮かべ

今週が事実上合意のマジノ線になるかもしれないという予測に、世界金融市場の緊張感は高まっている。フィッチが、米国を否定的観察対象に指定するやいなや、ドルに続き安全資産とされる日本円は急激に円高が進み、6月初めが満期の米国債金利は7%まで高騰するなど金融市場は動揺した。

これをめぐり、オバマ政府時代の2011年、デフォルト直前に負債限度の引き上げに合意したにもかかわらず、グローバル格付け会社のスタンダード&プアーズ(S&P)が、米国の格付けを下げてグローバル証券市場に衝撃を与えた「悪夢」を思い出させるという解釈が出ている。当時も、民主党政権と野党共和党が多数党を占めた米下院など、現在と政治状況が同じだ。

米財務省は、フィッチの否定的観察対象指定に対し、「両党の崖っぷちでの対峙が、米国企業と家計に害を及ぼしているという意味だ」と明らかにした。ホワイトハウスと共和党は24日、第4回交渉でも合意に達することができず、米顕忠日である戦没将兵追悼記念日(29日)の連休を迎え、両党の多くの議員はワシントンを離れ、自分の選挙区に向かっている。両党の指導部は、議員らに対し、24時間以内に負債限度の引き上げの採決ができるように備えるよう指示したという。


金玹秀 kimhs@donga.com