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82年ぶりに戻ってきた傑作

Posted February. 09, 2023 08:50,   

Updated February. 09, 2023 08:50

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カール・ラーションはスウェーデンの国民画家だ。スウェーデン国立美術館に行けばラーションの代表作を見ることができるが、展示室ではなく中央ホールの壁面に展示されている。スウェーデンの歴史と伝説を描いた壁画の連作だからだ。美術館が依頼した壁画なのに、最後の絵は完成してから80年以上経って設置された。いかなる理由からか。

「冬至の生贄」は、スウェーデン美術史上最も物議を醸した作品だ。北欧の伝説に登場するスウェーデン王ドーマルディが飢饉を回避するために生贄の儀式をするシーンを描いているからだ。絵の中の背景は、古代ノルウェーの信仰の中心地だったウプサラの神殿。金で飾られた豪華な神殿には3人の神が祀られており、飢饉や疫病、戦争、結婚を司る神だ。その中でも飢饉や疫病を司る神が最も力が強いため、飢饉が起きると、人間を生贄に捧げていた。儀式を行う祭司の前には、白い袋が置かれている。連れて来られた生贄が入っているのだろう。赤いマントの執行人がナイフで刺す準備をすると、王が立ち上がり、自ら服を脱ぐ。これ以上民を犠牲にすることはできないとして自分を殺すよう命じる場面だ。王が裸で登場し、生贄という迷信的なテーマを扱っているため、物議を醸すことになった。

美術館で拒絶された絵は他の人の所有になり、画家も亡くなってしまった。1983年に日本に売られ、1992年に国立美術館開館200周年記念のラーション献呈展示会で展示された。日本から借りたこの絵を見るために、なんと30万人が集まり、絵を取り戻さなければならないという声が上がった。

長年の努力の末、絵は再びスウェーデンの所有となり、1997年にようやく所定の位置に展示されることになった。誤認され拒否されてから82年ぶりのことだった。今、この絵のテーマは違った読み方ができる。民を守るために自分を犠牲にした王。画家が伝えたかったメッセージも、まさにそれだったのではないだろうか。