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見知らぬ人がなんだか気になるなら

Posted September. 24, 2022 08:59,   

Updated September. 24, 2022 08:59

한국어

今年向き合った本の中で「タイトル」が最もプレッシャーだ。

知らない人が話しかけても不便なのに、話しかけてみろとは。これまで子どもにもそんなことは教えなかった。本を読んでうなずき、百回正しい言葉だと共感しても実践することはできないという確信が全身に広がる。

このような拒否感は、著者も大方予想したはず。米国のフリージャーナリストである著者は、「見知らぬ人との会話は単に生きていく方便ではなく生き残る戦略だ」と誘う。人類はもともと異邦人をもてなし、意思疎通して関係を結び、進化してきた。ああ、本当に・・・先祖のことまで言い出すので、やらないわけにはいかない。

むろん、皆スマートフォンに頭を突っ込む地下鉄の風景が慣れた現代社会で、見知らぬ人に話しかけることはかなりの覚悟でなければ難しい。ややもすると痴漢や精神異常者と誤解されるかもしれない。一方、目を合わせて些細な共通点を見つけて会話を実現すると、「A Whole New World」(全く新しい世界・映画「アラジン」テーマ曲)が繰り広げられるという。実は誰かが話しかけてくれることを皆が願っていると著者は信じる。

出版社は嫌がるだろうけど、この本は、忙しければ1、2部を飛ばして3部だけ読んでも「中身」を味わうことができる。文章は艶やかだが、前半は多少「孔子曰く、孟子曰く」なので、「だから何(So What)」と言いたくなる。だが、3部では見知らぬ人に話しかけた経験談を語る。本格的に会話の「スキル」を共有するので大変参考になる。くすくす笑って膝を打たせるウィットが利いている。

予告したように、本に感化されてもすぐに行動に移すことは容易でない。そんなに簡単なら世の中は今のようではないだろう。しかし、すべて読んだら、バスや道端で通り過ぎる人を思わず振り返るようになる。彼らも私のように、私たちはみんな孤独な島なのだ。いつか見知らぬ人に話しかけてみては。ひとまず牛黄清心丸を一つ食べてから。


丁陽煥 ray@donga.com