Go to contents

市場と自由を強調した尹政府、インフレには「新官治」で対応か

市場と自由を強調した尹政府、インフレには「新官治」で対応か

Posted June. 29, 2022 09:07,   

Updated June. 29, 2022 09:07

한국어

年7%台を超えていた固定型住宅ローンの金利が、数日間で6%台に下がった。金融監督当局と与党が、「利息商売」を強く批判後、銀行が慌てて貸出金利を引き下げたためだ。産業通商資源部(産資部)と公正取引委員会(公取委)は、政府が引き下げた油類税が消費者価格にきちんと反映されたかどうかを確認するための現場点検を強化し、精油会社の価格談合の有無を調査し始めた。14年ぶりに6%台に高騰した消費者物価、米国緊縮の影響で高騰する金利を抑制するため、政府が直接市場に圧力をかけているのだ。

先週、金融監督院の李卜鉉(イ・ボクヒョン)院長は、「銀行の過度な利益追求に対する批判が高まっている」とし、拡大した預金と貸出金利との差で大きな利益を上げた銀行に警告した。尹錫悅(ユン・ソクヨル)大統領が、「金利上昇期に、金融消費者の利息負担が大きく加重されないよう金融当局や金融機関が協力してほしい」と頼んだ直後だった。与党「国民の力」の權性東(クォン・ソンドン)院内代表は、「精油会社も、原油高の状況で一人だけお腹いっぱいになろうとしてはならない」として、精油業界の苦痛分担を要求した。発言の殺到後、都市銀行は住宅ローンの金利を0.6%ポイント下げ、石油業界は「政府の油類税引き下げ分を直ちに反映する」と発表した。

政府と政界は「望む通りになった」と考えるかもしれないが、実際の消費者が感じる変化はほとんどない。当局の顔色を伺う銀行は、目立つ金利のみを下げ、大半の消費者に適用される金利はそのまま維持するためだ。製油会社各社がガソリン価格の引き下げを約束しても、直営ではないガソリンスタンドまで値下げを強制する方法はない。今年初め、文在寅(ムン・ジェイン)政府が高騰する外食価格を抑えるとして、チキンやピザ、コーヒー価格を公開する「外食価格の公表制」を導入したが、何の効果もなかったのは、それだけ市場価格に影響を及ぼそうとする政府の試みが成功しにくいという意味だ。

市場経済や自由民主主義の回復を旗印に掲げて政権の座についた政府と与党は、今、物価高・金利高の壁にぶつかりジレンマに陥っている。物価と金利を市場に任せようとすると、「政府が手を引いた」という批判を避けられない。だからといって、「民間主導経済」をするという政府が、過去の政府と同じ官治で企業の腕を捻じ曲げることは、自ら立てた国家原則を崩すことになる。政府は、市場機能の回復と規制緩和に集中し、民間の自主競争を誘導して物価を抑える市場にやさしい解決策を講じなければならない。