
2020年9月に西海(ソへ・黄海)上で北朝鮮軍に射殺された海洋水産部公務員の故イ・デジュンさんについて、「自ら北朝鮮へ渡った」とする虚偽の捜査結果を発表したとして起訴された徐薫(ソ・フン)元大統領府国家安保室長と金洪熙(キム・ホンヒ)元海洋警察庁長官に対し、控訴審でも無罪判決が言い渡された。
ソウル高裁刑事3部(李承翰部長判事)は16日、虚偽公文書作成・行使などの罪で起訴された徐薫氏と金氏に対し、「被告らが故人(李氏)の自発的な越北意思を推認したことには合理性と相当性がある」として無罪を言い渡した。
さらに「自発的越北の核心的根拠である故人の救命胴衣着用や北朝鮮軍に越北の意思を示した事実は、情報によって明確に認められる」とし、「断定的な表現を用いて状況を誇張したと批判することはできるが、真実に反する虚偽内容を作成・配布したと評価するのは難しい」と説明した。
文在寅(ムン・ジェイン)政権当時、海洋水産部公務員だったイさんが殺害された後、政府が「自発的越北」と発表した対応などを巡り、野党を中心に「事件隠蔽疑惑」が提起された。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権への交代後の2022年6月、監査院が監査に着手し、同年10月に検察へ捜査を要請した。国家情報院は同年7月、朴智元(パク・チウォン)元国家情報院長らを告発した。同年12月、検察は徐薫氏、金氏、朴氏、徐旭(ソ・ウク)元国防部長官、ノ・ウンチェ元国家情報院秘書室長を、事件隠蔽などの容疑(職権乱用による権利行使妨害)で起訴した。
しかし、一審裁判所は起訴から約3年後の昨年12月、「犯罪の証明がない」として、「事件隠蔽」および「越北誘導」の容疑について全員に無罪を言い渡した。当時、関係機関の対応は限られた情報と切迫した状況の中で行われたものであり、報告や発表の過程で一部判断ミスがあったとしても、刑事処罰の対象となる犯罪と断定することは難しいと判断した。また、尹氏が当時の国家情報院長だった金奎顕(キム・ギュヒョン)氏に対し、朴氏の告発を指示した事実も認定した。
その後、検察は徐薫氏と金氏について、虚偽公文書作成・行使および名誉毀損など一部の容疑に限り、「越北かどうか不明確な状況で、自発的越北と誤認され得る捜査結果を発表し、故人と遺族の名誉を毀損した」として控訴した。しかし検察は、朴氏、徐旭氏、ノ氏については控訴せず、一審の無罪判決が確定した。
イさんの兄であるイ・レジンさんは同日、記者会見を開き「司法が国民に背を向けた」とし、「国際刑事裁判所と国際海事機関に提訴し、国際司法の判断を仰ぐ」との考えを明らかにした。
ヨ・グンホ記者 yeoroot@donga.com






