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海面水温の上昇で世界各地に干ばつ・飢饉 2年間で最大5千万人に被害

海面水温の上昇で世界各地に干ばつ・飢饉 2年間で最大5千万人に被害

Posted May. 30, 2026 08:50,   

Updated May. 30, 2026 08:50


1876年、赤道付近の中・東太平洋。通常なら涼しいはずの南米西岸やガラパゴス諸島周辺海域の海面水温が急上昇し始めた。気候学者らがサンゴの年輪などを分析して当時の状況を再構成した結果、赤道海面の水温は平年より3.5度以上高かったと推定される。温められた海水は世界各地へ流れ込み、干ばつや飢饉など各種災害を引き起こした。最大5千万人の人的被害を生んだ史上最悪のエルニーニョだった。

エルニーニョは不規則に発生する自然現象だが、平均2~7年に一度観測されている。通常は弱~中程度の強度で、発生すると9~12カ月続く。しかし、異例の強さと長期化で壊滅的被害をもたらしたケースもある。1878年まで2年間続き、観測史上最強とされるエルニーニョは、インド、中国、ブラジル、アフリカなど世界各地で同時多発的な極端な干ばつと大飢饉を引き起こした。これにより1900万人から最大5千万人が命を落とした。1877年、インドの惨状を告発する報告書や書簡を執筆した英国人看護師フローレンス・ナイチンゲール(1820~1910)は、「これほど恐ろしい人間の苦痛と破滅の記録を見たことがない」と記している。

1997~98年に発生したエルニーニョも、「世紀のエルニーニョ」と記録されている。当時、中・東太平洋の海面温度が平年より最大2.8度ほど上昇し、世界の平均気温が一時1.5度上昇した。一般的な規模のエルニーニョ発生時の地球気温上昇幅は0.25度程度だ。

当時、エルニーニョの直撃を受けたインドネシアでは、97年9月~98年7月に900万ヘクタール以上の森林と泥炭地が焼失した。海面水温の急騰により、世界のサンゴ礁の16%がこの時期に集団死滅し、海洋生態系に回復不能な打撃を与えた。科学誌「サイエンス」は、このエルニーニョ後5年間で世界が被った累積国内総生産(GDP)損失を最大5兆7千億ドルと推計した。

直近で発生した強力なエルニーニョは、2015~16年の「スーパーエルニーニョ」だ。10年代に発生したこのエルニーニョは、地球温暖化時代に発生した初のスーパーエルニーニョであり、気候変動と自然災害につながった際の被害がいかに深刻化するかを示した。

当時、中・東太平洋の海面水温が平年より約2.6度上昇して発生したエルニーニョにより、人類は記録的猛暑と干ばつに見舞われた。15年5月、インドでは気温が47~48度まで上昇し、2500人以上が死亡した。東南アジアの生命線であるメコン川流域を襲った深刻な干ばつで、数百万人の食料安全保障が瞬く間に危機に陥った。当時、赤道付近のアジア地域で発生した森林火災とスモッグ被害を調査した米ハーバード大学とコロンビア大学の共同研究チームは、「インドネシアの大規模森林火災による有毒煙とスモッグが大気を汚染し、東南アジア全域で最大10万人が呼吸器疾患などにより早期死亡した」と明らかにした。

国際社会では、予測的かつ計画的な対応システムを通じて、繰り返されるエルニーニョ被害を減らさなければならないとの声が高まっている。昨年、世界気象機関(WMO)は国連との共同報告書で、「緻密な早期警報システムを稼働している国は、そうでない国に比べて災害発生時の死亡率が6倍低かった」と明らかにした。国連環境計画(UNEP)は25年版「適応ギャップ報告書」で、「既存の適応戦略は災害発生後にダムを補修するような事後対応型にとどまっていた」とし、「今後は未来気候シナリオに基づく予測型へ転換しなければならない」と強調した。


チェ・チェウン記者 chan2@donga.com