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幽霊より怖い不信

Posted April. 29, 2026 08:48,   

Updated April. 29, 2026 08:48


 

「そこは生きては出られない」。どこか陰気な雰囲気の中年女性が、サルモク池について語る。釣り人の相次ぐ死亡事故と、ロードビュー写真に写り込んだ正体不明の顔のような影のため、再撮影に向かったプロデューサーのスイン(キム・ヘユン)と撮影チームは、その女性の言葉通り、さまざまな奇妙な出来事に遭遇する。ロードビュー撮影用カメラが送る映像に不気味な形が捉えられたり、水切りで投げた石が戻ってきたり、夜間に動きを感知するモーションディテクターに正体不明の存在が映ったりする。真っ暗な夜道でカーナビが誤作動し、車を貯水池に落とす。サルモク池から抜け出そうとしても、同じ場所をぐるぐる回り続ける。

怖すぎるとの口コミが広がり、映画「サルモク池」は実際の舞台である忠清南道礼山(チュンチョンナムド・イェサン)の貯水池まで賑わせた。車が押し寄せ、テントを張る珍風景が見られ、「サルモク池への道」という案内板まで設置された。映画で「生きては出られない」とされた場所が観光地化し、人々が集まる珍現象が起きたのだ。こうしたシンドロームに後押しされ、「サルモク池」はホラー映画でありながら観客動員160万人を超える異例のヒットとなった。特定の空間にまつわる怪談を恐怖の素材にし、社会現象を起こしたという点で、260万人を動員した「コンジアム」を思わせる作品だ。

「サルモク池」が怖いのは、現代的な映像機器に映し出される、信じがたい不吉な兆候が次々と展開するからだ。安全な道を案内するはずのカーナビが死への道へ導いたり、明確な実体だけを映すはずのカメラに奇妙な形が捉えられたりする。こうした兆候が繰り返されると、その空間も、そこにいる人々さえも信じられなくなる。幽霊も怖いが、私たちをさらに怖がらせるのは、結局のところ不信なのだ。

(「そこは生きては出られない」イ・サンミン「サルモク池」)

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大衆文化評論家