
人工知能(AI)の利用が日常に定着する中、人々がAIに求めているものは別にあるようだ。より多くの成果ではなく、AIの力を借りて少しでも「生活の余裕」を取り戻すことだ。
大規模言語モデル(LLM)「クロード」を開発したアンソロピックは最近、「8万人インタビュー」プロジェクトを公開した。汎用人工知能(AGI)や自動化といったマクロ議論の陰に隠れていた個人レベルでのAI体感を探った調査だ。昨年12月の1週間、159カ国の8万508人を対象に70言語で実施されたこの調査は、方法論の面でも特徴的だった。画一的な選択式アンケートではなく、クロード基盤のAIインタビュアーが回答者と1対1で深い対話を行い、回答の流れに応じて後続質問を柔軟に続けた。定性調査の長年の課題である「規模」と「深さ」のジレンマをAIで解決した初の試みとの評価も出ている。
「1日に医師や看護師から100~150件のメッセージを受け取っていた。記録業務に追われ、患者の家族に説明する余裕すらなかったが、AI導入後はその負担が消えた」。米国の医療従事者のこうした声のように、AIに期待する役割として最も多かったのは「業務生産性の向上」(18.8%)だった。しかし対話が深まるにつれ本音も見えてきた。AIでより高い成果を上げることよりも、メール確認や税務処理など日常の雑務を減らし、家族と過ごす時間を増やしたいという「日常的管理負担の軽減」(14.0%)への期待が示された。
「ロボットが人類を支配する」といった懸念は、利用者にとってはまだ遠い未来の話のようだ。AIへの不安として最も多く挙げられたのは、いわゆる「ハルシネーション(幻覚現象)」などの信頼性の問題(26.7%)だった。AIによる外注業務の代替によって生じる失業(22.3%)への懸念がこれに続き、「自ら読み考える力を失うのではないか」という主体性の低下(21.9%)への不安も少なくなかった。
AIに対する地域ごとの温度差も鮮明だった。アフリカ・南米・東南アジアなど新興国では経済成長の足掛かりとしての期待が高かった一方、米国や欧州連合(EU)など先進国では個人情報監視やガバナンス空白への警戒が相対的に強かった。
今回の調査は、AI業界にも示唆を与えている。人々が望んでいるのは、より多くの成果ではなく、よりゆとりのある日常だ。速く賢いAIを追い求めるだけでなく、生活を楽にするAIこそが最終的に選ばれる可能性が高い。
金在亨 monami@donga.com






