
車いすを使用する障害者が、史上初めて宇宙飛行に成功した。これまで視覚や聴覚に障害のある人が宇宙を飛行した例はあったが、車いす利用者の宇宙飛行は初めてだ。
20日(現地時間)、米アマゾン・ドット・コム創業者ジェフ・ベゾス氏が設立した宇宙企業ブルーオリジンによると、歩行が困難で車いすを使用するドイツ出身の欧州宇宙機関(ESA)エンジニア、ミカエラ・ベンタウスさん(33)が、米テキサス州で宇宙船ニュー・シェパードNS-37に搭乗し、地球大気と宇宙空間の境界とされる高度100キロの「カルマン線」を越えて飛行した。
飛行時間は約11分で、ベンタウスさんのほか5人が搭乗した。搭乗者は3分以上の無重力状態を体験し、ベンタウスさんは打ち上げ前に車いすを地上に残してカプセルに乗り込んだ。ブルーオリジンは、カプセル搭乗口から座席まで移動できるボードを設置し、移動を支援した。
ベンタウスさんは2018年、マウンテンバイク事故で脊髄を損傷し、下半身がまひしたが、10歳の頃から抱いてきた宇宙飛行士の夢を諦めなかった。22年には、障害者に宇宙飛行の道を開くために支援する米非営利団体「アストロアクセス」のプログラムに参加し、今回の飛行に備えてきた。
ベンタウスさんは「障害のある人が宇宙へ行った前例がほとんどなく、現実的な選択肢だとは思えなかった。今回の飛行は最高の経験だ」と語った。ブルーオリジンのニューシェパード計画担当上級副社長のフィル・ジョイス氏は「今回の飛行で、宇宙はすべての人のものだということが確認された」と述べた。
ブルーオリジンはこれまで数十人の観光客を宇宙へ送り出した。今年4月には、ポップスターのケイティ・ペリー、ベゾス氏の婚約者ローレン・サンチェス氏、米CBSの司会者ゲイル・キング氏ら女性6人が約11分間の宇宙飛行を行い、注目を集めた。
林賢錫 lhs@donga.com






