
大統領室は、年末に「青瓦台(チョンワデ)時代」を迎えるのを前に、国民とのコミュニケーションの在り方を巡り、模索を続けている。大統領と記者団が同じ建物を使用する竜山(ヨンサン)大統領室と異なり、大統領と報道機関との物理的距離が広がることで、過去に青瓦台を使用していた政権と同様、「九重の奥深い宮殿」との批判が再び浮上しかねないためだ。一部からは、「どこでも大統領の会見が可能な構造を整えるべきだ」との声も出ている。
大統領室によると、李在明(イ・ジェミョン)大統領は、参謀陣の業務棟である与民館に執務室を設け、秘書室長、政策室長、国家安保室長の3室長と同じ建物で勤務する。青瓦台の本館にも大統領執務室が整備される。大統領室は、参謀との円滑な意思疎通を重視した空間再配置に注力したが、与民館や本館執務室と、記者会見場との距離が広がることで、報道対応の機会が減るのではないかとの指摘が出ている。記者会見場のある春秋館は、最も近い秘書棟である与民館からも約200~300メートル離れている。
李氏は竜山大統領室時代の今年6月、就任初期に、記者との即席の昼食会や茶談会など、予告なしの交流の場を設けた。執務室と記者室が同一建物にある竜山大統領室の利点を生かしたものだ。青瓦台に復帰すれば、こうした形でのコミュニケーションは難しくなるとの見方が出ている。
大統領室の関係者は「青瓦台への移転後も、新年の記者会見をはじめ、メディアとのコミュニケーションの機会は多く設ける」と説明した。大統領室はまた、「デジタル疎通ブリーフィングと呼ばれる独自のプログラムを通じ、実務陣が大統領室の主要な活動や政策を直接説明するオンライン発信も強化する方針だ。
与党内の一部からは、対国民疎通の観点から、青瓦台官邸を移転し、同地を市民に開放すべきだとの意見も出ている。米ホワイトハウスでは、「ウエストウイング(西館)」に大統領執務室のオーバルオフィスをはじめ、参謀の執務空間を集約し、「イーストウイング(東館)」や中央官邸など、大半の空間を市民に開放している。文在寅(ムン・ジェイン)政権で秘書官を務めた経験のある関係者は、「青瓦台を、市民に開放する区域と業務区域に分けるのが望ましい」とし、「現在の青瓦台官邸を移転し、その周辺を開放する方法も検討に値する」と語った。
ユン・ダビン記者 empty@donga.com






