
韓国海兵隊は16日、西海(ソへ・黄海)の北方限界線(NLL)付近で、K9自走砲を動員した海上実弾射撃訓練を実施した。韓国政府が連日、南北緊張緩和の基調を強調し、先月には国防部が北朝鮮に対し、非武装地帯(DMZ)内の軍事境界線(MDL)基準線設定のための南北軍事会談を公式提案していたことから、訓練が中止されるとの観測も流れていたが、計画通り実施された。
西北島嶼防衛司令部は同日、「海兵隊第6旅団および延坪(ヨンピョン)部隊が、今年第4四半期の海上射撃訓練を支障なく終えた」と明らかにした。訓練は同日午後2時前後に始まり、約1時間にわたって行われた。K9自走砲が投入され、約100発が発射されたという。今回の訓練は、今年9月24日に行われて以来約3カ月ぶりで、四半期ごとに1回、今年は計4回実施された。
西北島嶼防衛司令部は、「今回の訓練はNLL以南の韓国の海域で行われたもので、年例的かつ防衛的性格の訓練だ」と説明した。北朝鮮を挑発する意図の訓練ではないことを強調した形だ。
李在明(イ・ジェミョン)政権発足後、初めて西北島嶼海域で実弾射撃訓練が行われた6月には、K9自走砲などを投入し、200発以上が発射された。9月には約170発が撃たれたが、今回は150発に満たないとされる。これを巡り、政府が北朝鮮との対話の契機づくりを念頭に、訓練の水準を調整したとの見方も出ている。過去の訓練で使用された多連装ロケット「チョンム」や対戦車ミサイル「スパイク」は、今回は発射されなかった。軍関係者は、「現地の気象条件や部隊の戦力状況などを考慮して実施したもので、北朝鮮を意識した訓練規模の縮小といった措置ではない」と否定した。
一方、北朝鮮がこれに対抗して、NLL付近で新型駆逐艦などを動員した挑発に出る可能性も指摘されている。10月には、金正恩(キム・ジョンウン)総書記が、「北朝鮮版イージス艦」と呼ばれる5千トン級の新型駆逐艦「崔賢(チェ・ヒョン)」を視察する様子が公開され、戦闘統制室のモニターに西海NLL付近が表示された電子海図が映し出されるなど、NLLでの挑発を示唆する場面があった。軍関係者は「現時点で、NLL付近における北朝鮮軍の挑発的動きは確認されていない」としたうえで、「北朝鮮側も、韓国軍の海上射撃訓練を定例訓練として認識しているとみられるが、万一の事態に備え、万全の対応態勢を整えている」と述べた。
孫孝珠 hjson@donga.com






