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国民年金を「為替の消防士」にしてはならない

国民年金を「為替の消防士」にしてはならない

Posted November. 24, 2025 09:44,   

Updated November. 24, 2025 09:44


1ドル=1400ウォン台後半の対ドルウォン相場が収まる気配を見せていない。急激なウォン安が続く中、外国為替当局は今週、国民年金と会合し、為替対策について協議するとされる。資産運用の方法などを見直し、国民年金が外国為替市場の「消防役」を果たすことを期待するとの見方がある。為替の安定は必要だが、国民の老後に関わる年金の運用収益に悪影響を及ぼすのではないかという懸念も少なくない。

政府が為替対応に国民年金を動員しようとするのは、国民年金がドルを大量に使う代表的な需要先だからだ。8月末基準で国民年金基金1322兆ウォンのうち44%が海外の株式・債券であり、そのほとんどがドル建てで購入した資産である。この比率を下げたり、為替変動リスクに備える「為替ヘッジ」を強化すれば、為替を押し下げる(ウォン高)効果を期待できる。海外向け個人投資家である「西学蟻(ソハッケミ)」によるドル流出を止める手段がないため、政府の影響力が及びやすい国民年金から圧力をかけるわけだ。

問題は、この方式が国民年金の収益率を中長期的に押し下げる可能性が大きい点だ。国民年金は今年1月~10月末まで20%台の運用収益率を記録したが、これは国内外株価が同時に暴騰した結果による極めて異例の収益だ。過去20年間の平均収益率は6.27%の水準である。今年だけで60%上昇したKOSPIが、米国発の人工知能(AI)バブル論が浮上するたび急騰と急落を繰り返す状況で、年末の株価も収益率も誰にも予測できない。

市場の変動性が大きい中、14.9%前後の国民年金の国内株投資比率をさらに引き上げたり、独自の原則で運用すべき「為替ヘッジ」の基準に政府が介入した場合、収益率が下がりかねない。政策金利が米国より1.25~1.5%低く、「西学蟻」の海外投資ブームと対米投資に向けた企業のドル需要が続く限り、国民年金を使った為替防衛は基金自体を消耗させる可能性がある。海外の年金基金が基金運用の独立性を特に重視するのも、このような問題を未然に防ぐためである

過去の通貨危機やグローバル金融危機を思い起こさせる現在の為替水準は脅威的であり、輸入物価上昇など副作用も少なくない。しかし、経常収支の黒字が続き、韓国人の海外保有資産が負債を大きく上回る現在は、過去の危機とは状況が大きく異なる。今必要なのは国民年金を動員して為替を引き下げることではなく、経済体質改善のための構造改革の速度を上げて対処することだーこれが正攻法である。