19日午後8時17分、耳をつんざくような轟音とともに、全羅南道(チョルラナムド)の新安(シナン)沖で乗客と乗員267人を乗せた旅客船「クイーンゼヌビア2号」が座礁した。済州(チェジュ)道から全羅南道木浦(モクポ)に向かっていた同船は、航路を外れて岩礁に乗り上げ、船首が無人島の足島(チョクド)にかかった状態で停止した。今回の事故は、2014年の沈没現場からわずか50キロの地点で発生した。乗客は全員無事に救助されたものの、「セウォル号惨事」が脳裏をよぎり、国民の不安は一気に高まった。
これまでの海上警察の捜査によると、事故原因は航海士の過失とみられている。事故が起きた新安沖は大小合わせて1025の島々が点在し、狭い海域での航行は容易ではない。このような狭水路区間では、自動航法装置を切り、航海士が手動で操船するのが原則である。ところが航海士は自動航法装置を作動させたまま携帯電話を使用しており、変針のタイミングを逃した。操舵手の外国人船員もただ見ているだけで、本来操舵室に居なければならない船長も持ち場を離れていた。事故船は本来の航路から約3km外れ、足島で座礁した。干潮で干潟が露出していなければ、多数の死傷者を出した可能性もあった。
暗く冷たい夜の海で起きた恐ろしい事故だったが、市民の意識の高さが際立った。海警の救助過程で乗客らは、子どもや高齢者を優先して船に乗せ、落ち着いて順番を待った。乗務員もセウォル号事故時とは異なり、最後まで船内に残って乗客の誘導に当たった。新安郡長山(チャンサン)面事務所の職員や漁民らは、乗客30人を収容できる大型漁船1隻を急行させ、事故海域へと向かった。
今回の事故を振り返ると、旅客船が日頃から自動航法装置に依存したり、操舵室を頻繁に離れたりするなど、現場に安全軽視の風潮が蔓延している疑いが拭えない。海上交通管制センター(VTS)は、セウォル号事故時と同様、通報があるまで旅客船の航路逸脱を把握できなかった。セウォル号惨事は、「まさか」と安全を軽視した監督当局、船会社、船員、海警らの安易な姿勢が積み重なり、304人の命を奪った悲劇である。肝を冷やした今回の事故は、あの惨事以降、私たちの安全意識がどれほど変わったのかを改めて問いかけている。
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