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米中覇権競争の新たな前線、量子コンピューティング

米中覇権競争の新たな前線、量子コンピューティング

Posted November. 19, 2025 09:06,   

Updated November. 19, 2025 09:06


新型コロナが猛威を振るっていた2020年7月、第1次トランプ政権は「官民合同で量子インターネットを構築する」という異例の構想を打ち出した。量子インターネットは、情報量が増えると通信速度が低下する通常のインターネットとは異なり、情報量が増加しても速度が維持される。これは「0」と「1」しか扱えない従来のコンピューターとは異なり、「0」と「1」を同時に重ね合わせた状態で保持できる量子コンピューターの特性によるものだ。

この構想を推し進めたのが、当時米エネルギー省次官だったポール・ダバー氏だ。「前例のない保健危機の中で、天文学的な税金を投じ、商用化の時期も見通せない事業を進めるのか」との批判が出てもおかしくなかった。しかしダバー氏は「21世紀で最も重要な技術の1つが量子インターネットだ」とし、方針を曲げなかった。さらに在任中、エネルギー省の量子研究予算を5倍に拡大した。

バイデン政権発足後に官職を離れたダバー氏は、量子コンピューティング企業「ボーア・クアンタム・テクノロジー」を設立した。そしてトランプ大統領の再選後、商務副長官に抜擢され、量子産業支援を主導している。

先月22日、米紙ウォールストリート・ジャーナルは、ダバー氏がイオンキュー、リゲッティ・コンピューティング、Dウェイブ・クワンタムなど主要量子コンピューティング企業に対し、それぞれ1千万ドル(約146億ウォン)を支援する代わりに株式の一部を取得する案を検討していると報じた。

原資はバイデン政権下で導入された半導体法(CHIPS法)から拠出され、ダバー氏が最高経営責任者(CEO)を務めたボーア・クアンタムを除くほぼすべての企業が取得対象に含まれたという。1期目から「量子イニシアチブ法」を推進してきたトランプ大統領の関連産業育成への強い意志が示されている。

中国もまた、先月20~23日に開かれた中国共産党中央委員会第4回全体会議(4中全会)で、2026~30年の5年間に国家経済を支える産業として、量子コンピューター、6世代(6G)通信、水素・核融合エネルギーなどを重点領域に位置づけた。内需不振への懸念が高まる中でも、まず先端産業の競争力を確保し、米国の対中技術封鎖を突破するという指導部の意志が込められている。

13日付の香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストも、中国の量子研究所「CHIPX」と関連企業「チューリング・クアンタム」が、米半導体大手エヌビディアのGPU(グラフィックス処理ユニット)より1千倍高速の量子半導体を開発したと伝えた。前日には米IBMも、今後4年以内に商用化可能な量子コンピューターチップ「Loon(ルーン)」を開発したと発表した。

米中の2大国(G2)政府と民間企業が量子コンピューティングに命運をかけており、韓国もまた育成意志を明確にしている。ただし、「量子強国」として飛躍するには、政府や専門家だけでなく、社会全体の関心と認識の転換が不可欠だ。そのためには、『初めて出会う量子の世界』(チェ・ウンミ著)のような質の高い教養書がもっと出版され、読まれる必要がある。教育現場での量子研究や講義も大幅に拡充されるべきだ。高度な量子力学の議論が行われる姿を見たいものだ。