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KPOPの軌跡を辿れば、そこには彼がいる A&Rプロデューサーのチョン・ビョンギ氏

KPOPの軌跡を辿れば、そこには彼がいる A&Rプロデューサーのチョン・ビョンギ氏

Posted November. 12, 2025 09:42,   

Updated November. 12, 2025 09:42


「KPOPの企画を大げさに考えなくてもいいです。例えば、デートコースをうまく組む人は良い企画者になる可能性が高いです。日常の小さな計画から組み立ててみること、それが企画者になる最初のボタンです」

20年以上KPOP企画者として活動してきたモードハウス代表のチョン・ビョンギ氏(46)は4日、ソウル市江南(カンナム)区にあるオフィスで取材に応じ、「良い企画者の資質」をこう説明した。国内1世代A&R(Artist & Repertoire)プロデューサーとして知られるチョン氏は、アイドル「ワンダーガールズ」「2PM」「Lovelyz」「今月の少女」などの企画に参加した。2021年にモードハウスを設立した後は、24人組ガールグループ「トリプルエス(TripleS)」を2023年にデビューさせた。

チョン氏は先月、初の著書「企画の感覚」(21世紀ブックス)を出版した。市場分析とコンセプト設定、ファンダム構造、リスク管理などKPOPの現場で身に着けたノウハウと哲学を盛り込んだ。「大衆コンテンツをつくる企画者としての経験を共有したかった」と語った。

A&Rは曲の選定に関わるというイメージが強いが、実際にはアーティスト発掘から音盤企画・管理まで、ほぼすべての領域を網羅する。チョン氏はこれを「アーティストの世界観とコンセプトを設計し、音楽・ビジュアル・ステージの方向性を統合的に調整する仕事」と定義した。アイドルが一つの「世界」だとすれば、それを創る設計者でありデザイナーというわけだ。

そうした意味で、A&Rプロデューサーの役割は現在のKPOPで一層重要になっている。過去は「曲をヒットさせるか」が重視されたが、今は「ミュージシャンの世界観やコンセプトをどう導くか」が核心だからだ。

チョン氏が2PMを「野獣アイドル」というコンセプトにしたのも同じ脈絡である。2000年代後半のボーイズグループをソウルの主要街と比較しながら研究した。「SHINeeには狎鴎亭(アックジョンドン)の洗練さ、BIGBANGには弘大(ホンデ)の自由奔放さ、SUPER JUNIORには江南駅のトレンディさを感じた」という。それを踏まえ、2PMは「洗練され、遊び方を知るCOEXモールの若い男性」というイメージで差別化し、それが野獣アイドルへつながった。

トリプルエスは、こうした彼の哲学が最も凝縮されたアウトプットだ。先にプロデュースした12人組「今月の少女」が、よく構築されたファンタジーゲーム的世界観を持っていたとすれば、トリプルエスは「身近にいる少女たち」という物語を掲げた。

「同年代の女性たちが『私もあのチームに入れるかもしれない』と思えるくらいハードルを下げたかったんです。また『メンバー組み合わせの多様性』を見せ、ファン同士がデジタルフォトカードを交換しながらコミュニティをつくるには、8人や12人では少なく、24人が最適でした」

人数が多いだけに活動は容易ではなかった。しかし、そのコンセプトのおかげで強固なコアファンダムが形成された。トリプルエスのファンはデジタルフォトカードを購入すると、タイトル曲選定やユニット構成など主要意思決定に参加できる。メンバーたちは販売されたフォトカードの収益を精算して受け取る。チョン氏は「今は『ステージに立てる』だけでは動機づけにならない。ファンの応援の気持ちが実際に反映される『好循環構造』をつくりたかった」と語った。

ではチョン氏のようなKPOP企画者を目指す人に必要なものは何か。彼は「才能ではなく『鍛えられた感覚』の結果が重要だ」と言う。

「良い企画は“ひらめき”では出ません。なくても、常に探すのです。多くのコンテンツを見て聞く努力を怠ってはいけません。米紙ニューヨークタイムズ“100大小説”、英国音楽誌NMEの“100大アルバム”などを継続して読んで聴く“目的志向の消費”も良い方法です」

チョン氏は、「KPOP企画者として長く活動してきた分、責任も大きい。アイドル精算システムなど慣行として捉えられてきた部分も、今一度考え直すべき時期だ。変化した時代の目線に合わせなければならない」と語った。


サ・ジウォン記者 4g1@donga.com