政府は全省庁の公職者を対象に、12・3非常戒厳令関与者を選別するタスクフォース(TF)を稼働させる。金民錫(キム・ミンソク)首相は11日の閣議で、非常戒厳令など内乱に参加または協力した公職者を対象に迅速に調査し、人事措置を行うための「憲法尊重・政府革新TF」設置を提案した。これに対し、李在明(イ・ジェミョン)大統領は「当然行うべきことだと思う」と言い、即座に承認した。政府は首相室主導で49省庁にTFを設置し、迅速な調査と措置を通じて来年2月の旧正月連休までに活動を終了させる方針だと明らかにした。
「内乱清算」を掲げて設置されるTFは、政権交代のたびに繰り返されてきた公職社会への捜査ドライブと大差ないように見える。即座に、文在寅(ムン・ジェイン)政権で「積弊清算」を第1号の国政課題として掲げて稼働したTFの活動とその副作用を思い起こさせる。当時も、国政介入事件で弾劾された朴槿恵(パク・クネ)政権、さらには李明博(イ・ミョンバク)政権まで遡り、さまざまな積弊を正したとされるが、多くの場合、理念的・政治的尺度で過去を裁断し、公職社会を列を作って分ける結果をもたらした。
もちろん、李大統領の指摘の通り、不法な戒厳令関与者が依然として政府内に残っているのであれば、「徹底的な摘発」は当然である。特に国政監査の際、与党側から提起された内乱関与者が軍の昇進人事対象に含まれているかどうかについては、真偽を明確に見極め、断固たる措置を取るべきだ。今後もそのような疑惑や問題提起があれば、徹底した事実調査とともに、相応の責任追及および処罰が当然だ。
だが、すでに内乱など前政権の核心疑惑をめぐる3大特別検察が稼働している中、政府全省庁にわたる調査・通報受理・行政的・司法的措置へとつながれば、むしろ「虱(しらみ)を取ろうとして家ごと焼く(思わぬ被害を生む)」事態になりかねない。即ち、捜査機関ではない政府独自の調査で「関与者」「従属者」といったあいまいな範囲に誰が該当するかをどう見極めるかで論争が生じかねず、TFの活動が漠然とした疑惑や中傷に振り回されない保証もない。
12・3の不法戒厳が招いた内乱事態は、大統領弾劾と早期大統領選挙により克服の過程に入った。前大統領から閣僚、軍将官、警察首脳部まで次々と拘束され裁かれている。もちろん、内乱の克服は、親衛クーデターを企てた愚かな為政者と同調勢力への断罪だけで終わるものではない。だが、韓国の民主主義を支えた真の力は、歴史の退行を阻んだ市民意識にある。清算の名のもとに潜む強引さが、常に新たな失敗の始まりであったことを忘れてはならない。
アクセスランキング