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「国家科学者」制度、20年前に失敗した「国家碩学」の二の舞にしてはならない

「国家科学者」制度、20年前に失敗した「国家碩学」の二の舞にしてはならない

Posted November. 10, 2025 08:55,   

Updated November. 10, 2025 08:55


政府は、科学技術分野の人材流出を防ぐため、「国家科学者」制度を新設することにした。世界的研究業績を持つ国内研究者を、来年末から5年間、毎年20人ずつ計100人選抜し、10年間にわたり年間1億ウォンずつ研究費を支援するのが柱だ。空港利用時の便宜提供などVIP待遇を与え、国家科学技術政策の設計にも参加できるようにする。理工系学生や科学者に成長の進路とビジョンを提示するロールモデルを作る狙いだ。

国家科学者制度は、中国政府が自国の碩学に与える待遇である「院士」制度をベンチマークしたものだ。院士に選ばれると、生涯にわたり次官級に準じた待遇を受け、定年制限なく研究費を受けながら研究に専念できる。国家主要政策への助言や後進育成などでも実質的影響力を行使できる。国家の認定と支援、社会的尊敬の中で「国宝級人材」として扱われる。

しかし、形式だけ借りてきても政策は成功しない。すでに20年前に失敗した前例がある。政府は2005年、ノーベル賞を取る科学者を支援するとして「国家碩学」制度を導入した。4年間、毎年10人前後の計38人を選び、年間1億~2億ウォンの研究費を支援したが、2008年の教育・科学技術部処統合の過程でいつの間にか消えた。国宝級だと持ち上げておきながら、退職時には「奥の院の老人」扱いだった。カーボンナノチューブ(CNT)権威者の李永熙(イ・ヨンヒ)元成均館(ソンギュングァン)大学特別招聘教授、理論物理学者の李淇明(イ・ギミョン)元高等科学院副院長など国家碩学は、現在、韓国ではなく中国へ渡り研究を続けている。

科学技術人材への劣悪な待遇や研究開発(R&D)予算削減など不安定な研究環境のせいで、残された人材すら海外に流出している。最近、韓国銀行が国内修士・博士級理工系人材2700余人を調査したところ、43%が3年以内の海外での転職を考えていた。2030世代の海外転職の意向は70%に達した。韓国の人口1万人当たり人工知能(AI)人材の流出超は-0.36人で、経済協力開発機構(OECD)38カ国の中で35位という極めて低い水準だ。

科学技術人材を守るには、年俸など待遇改善も重要だが、金銭だけでは問題は解決しない。定年や研究費を気にせず研究に打ち込める環境づくりが先決だ。李在明(イ・ジェミョン)大統領は7日のR&Dエコシステム革新国民報告会で、「歴史的に科学技術を軽んじたり無視する体制は滅びた」と述べた。科学者が社会的に尊敬され、若手研究者が成長できる研究環境を整えてこそ、国の未来がある。