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「韓国の次の産業革命」その胸高鳴る想像

Posted November. 07, 2025 09:37,   

Updated November. 07, 2025 09:37


「Korea’s Next Industrial Revolution(韓国の次の産業革命)」。ジェンスン・ファン氏が率いるエヌビディア(NVIDIA)が最近制作・公開した韓国献呈映像のタイトルだ。製造業崩壊の危機の中で雇用は減り、人材すら流出し、現状維持さえ難しい状況で、突如「産業革命」とは。このような国威高揚的な希望回路を刺激したのが他ならぬ外国企業であったことは、さらに驚きだった。外部の視点は、ときに私たちが忘れていた隠れた底力を再発見する契機となる。チキンとソメク(焼酎+ビール)、PC房、KPOP……。1泊2日の滞在中、ファン氏が次々と漏らした感嘆は、私たちが空気のように当然視してきた日常のものに向けられていた。

ファン氏は韓国産業の「ルネサンス」を予見し、その根拠を示した。ファン氏は「米国はソフトウエアに強みがあるが製造業が弱く、欧州は逆に製造業が強いがソフトウェアが弱い。しかし韓国は両方の能力を兼ね備えている」と述べた。幅広い製造業ポートフォリオ、相応に競争力ある情報技術(IT)インフラ、さらにKドラマ、Kビューティーなどソフトパワーが支える韓国は、AI技術が産業全域に浸透し経済発展の起爆剤となるための最適条件を備えているという。彼が挙げた韓国の強みは、単に半導体プロセス技術やBTSのグローバルファンダムといった既に可視化された成果にとどまらない。ファン氏が見たのは産業の「現在」ではなく「潜在力」だった。「韓国がAIリーダーになる可能性は無限大」という評価も、韓国がこれまで描いてきた経済奇跡の歴史を見てきたからこそ出てきた言葉だろう。

「韓国の産業革命」というファン氏のビジョンが聞くだけで胸を震わせるのは、AIがこの長引く低成長を突破する現実的な切り札となり得るからだ。韓国経済はすでに30年以上、潜在成長率と出生率が急低下を続けている。特に、生まれてから一度も高度成長を経験していないMZ以降世代にとって、景気低迷と就職難は人生の「変わらぬ常数」となってしまった。この状況で、ファン氏が韓国の製造現場を革新し、生産性を極大化しようと先に手を差し伸べてきたことは、韓国にとって拒み難い提案だ。世界的なAI拡散を狙うNVIDIAは、韓国との「AI同盟」によって自社製品の市場を開き、効用性を証明したいのだ。我々にとってもAI革命は単なる技術トレンドではなく、成長の水路を切り替え、水圧を高め、世代の物語を変える「最後のチャンス」となり得る。

私は、ファン氏のビジョンが荒唐無稽だとは思わないが、革命的な産業大転換がグラフィック処理装置(GPU)を導入するだけで自動的に実現するとも考えていない。どれほど優れたAIチップがあっても、それをつなぎ活用する人とシステムが備わっていなければ、韓国製造業の古い体質は変わらないからだ。これに加え、失敗を受け入れる組織文化と企業家精神の復活、革新を支援・奨励するガバナンス、大企業・中小企業・スタートアップがすべて参加する開放型エコシステムが調和しなければならない。特に政界は、AI投資と育成だけは与野党を問わず最優先で取り組んでほしい。結局、私たちが本来持っている長所以外はすべて変えなければならない。技術や資源の導入より難しいのは、それが機能する社会的環境をつくることだ。

むろん、革新の種が長らく乾ききっていた韓国社会で、そのすべての変化と準備が一気に進むとは期待していない。それでも今回の機会に、実験的なアイデアが息づき、革新企業が芽生え、新産業を牽引する躍動的な経済環境が再び若者たちに訪れたらどうだろうか。まだ奇跡のような話にすぎないが、そうした想像をするだけでも、しばし幸福感を覚えた。