
18日午後、カンボジアの首都プノンペンから南東約160キロ離れた南部国境の町バベット。ベトナムとの国境検問所近くの食料品店前に、ジープ1台とワゴン車2台が次々と止まった。トランクにはパソコンのモニターやデスクトップの本体が10台余り積まれ、車内には地元の人とは肌の色が異なる女性たちが濃い化粧をしたまま座っていた。近隣住民は「この地域は停電が頻繁で、パソコンを使うことはほとんどない」とし、「ああいう連中の多くは、ロマンス詐欺などのオンライン犯罪に動員される中国系組織の構成員だ」と耳打ちした。
プノンペンやシアヌークビル周辺に集結していたオンライン詐欺組織が最近、検挙を逃れようとバベットなどカンボジア国境地帯に拠点を移していることが分かった。一部は国境を越え、ベトナムやミャンマー、ラオスまで活動範囲を広げている様子も確認されている。韓国政府がカンボジア当局との合同取り締まりを強化しているものの、主要組織が隣国へ拠点を移すことで、検挙や被害者救出が一段と困難になる可能性を懸念する声も出ている。
この日、記者が訪れたバベットは、プノンペンやシアヌークビルなどから逃れてきた組織員が集まる場所として知られている。国境を越えれば、ベトナム最大の都市ホーチミンまで約66キロ、車で1時間ほどの距離にすぎない。そのため検問所周辺の道路には、国境を往来する車の列が長く続いていた。検査台の前に立つ10人のうち約3人は地元住民と肌の色が異なり、パソコンなどの機器を多数携帯していた。
バベット住民の一人は「かなりの数が、大型の『園區』(犯罪拠点)にいた中国系組織員だ」と述べ、「検問を避けて国境を越える、いわゆる『ネズミ穴』が各所にあり、夜逃げのようにベトナムへ密入国するケースが多い」と話した。今月7日にベトナムで遺体で発見された30代の韓国人女性も、カンボジアからベトナムへ移動する途中、バベット近郊で事件に巻き込まれたとされる。一方、カンボジアから送還された韓国人64人については、警察の捜査で組織との関係や被害の規模が確認され次第、逮捕の可否が決まる見通しだ。
バベット=クォン・グヨン記者 ソ・ジウォン記者 9dragon@donga.com






