
「いまの世界のありさまを思うと非常に悲しい。それこそが、執筆の最も深いインスピレーションになるのです」
今年のノーベル文学賞を受賞したハンガリーの小説家、クラスナホルカイ・ラースロー氏(71)は9日(現地時間)、ノーベル賞公式の電話インタビューでこう語った。クラスナホルカイ氏は、インスピレーションの源泉を尋ねられると「苦味(bitter)」と答え、「非常に暗い時代であり、これまで以上の力が必要です。この苦味は次の世代、その次の世代の文学にもインスピレーションを与えるでしょう」と話した。
この日、クラスナホルカイ氏は最初の受賞コメントで「これはまさに、災厄以上のものです」と語った。これは、1969年にサミュエル・ベケット(1906~1989)がノーベル文学賞の受賞を知った際に発した第一声「災厄だ」から取った言葉だという。クラスナホルカイは「本当にうれしく、誇らしい」とし、「偉大な作家や詩人たちが連なるその系譜に自分も立つことができたからだ」と喜びを表した。
受賞をどう祝うつもりかと尋ねられると、「まだ実感が湧かず、特に変わったことはしないでしょう」としながらも、「おそらく友人たちとワインかシャンパンを飲みながら夕食をともにするのでは」と話した。そして、「何よりも読者に感謝します。読書を通じて楽しみ、豊かさを得ることこそが、この地球で私たちが直面している非常に困難な時代を生き抜くためのより大きな力を与えてくれるのです」と語った。
クラスナホルカイ氏の受賞を受け、韓国でも彼の作品に注目が集まっている。前日のノーベル文学賞発表直後から代表作『サタンタンゴ』(1985年)が教保(キョボ)文庫、YES24のリアルタイム・ベストセラーで1位となった。また、『抵抗の憂鬱』(1989年)、『世界は続く』(2013年)、『ウェンクハイム男爵の帰還』(2016年)など他の代表作も10日現在、上位を維持している。オンライン書店アラジンによると、受賞前の1か月間におけるクラスナホルカイ作品の国内翻訳書の販売数は約40冊だったが、受賞後は約1800冊へと増え、およそ45倍に跳ね上がったという。
キム・テオン記者 beborn@donga.com






