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台湾を「機会の島」に導いた強い工科大学の力

台湾を「機会の島」に導いた強い工科大学の力

Posted September. 29, 2025 07:36,   

Updated September. 29, 2025 07:36


9年前、台湾を訪れた時、「鬼島」という不気味な言葉を何度も耳にした。台湾の若者たちが自国を批判して呼んだ別名だった。当時の韓国の若者が「ヘル朝鮮」と現実を嘆いた姿と重なる。台湾の現実を見ればそう言いたくもなる状況だった。台湾の経済成長率は前年にすでに1%台となり、低成長への危機感が高まっていた。失業率は韓国と同じ3%台。さらに中国との対立で、政治的不安も韓国の「北朝鮮リスク」に匹敵するほど高まっていた。経済、政治の環境は韓国とよく似ていた。

そのような台湾が最近、韓国とは異なる道を歩んでいる。政治的リスクはむしろ高まったかもしれないが、経済は急成長している。今年、台湾の1人当たり国内総生産(GDP)は3万8066ドル(約5367万ウォン)で、韓国(3万7430ドル)を上回る見込みだ。昨年の台湾株式市場の時価総額は2兆3320億ドルで、韓国(1兆5230億ドル)の153%に達した。

台湾経済の核心動力は半導体産業だ。台湾の輸出に占める半導体の割合は約40%に及ぶ。半導体産業は中国の脅威にさらされる台湾の安全保障も支える存在になりつつある。米国のハリス前副大統領の国家安全保障補佐官だったフィリップ・ゴードン・ブルッキングス研究所上級研究員は22日、外交専門誌フォーリン・アフェアーズに寄稿し、「台湾のトップ企業が生産する先端チップに代わるものは世界のどこにもない」とし、「米国は今後も長期にわたり台湾の安全保障に関心を持ち続けるだろう」と見通した。

世界のファウンドリー市場を制した台湾の目覚ましい半導体躍進は、優れた工科大学の存在に支えられているとの分析が多い。かつては米国の工科大学を卒業した留学組が帰国して産業を牽引した。「MIT(マサチューセッツ工科大学)はMade In Taiwan(メイド・イン・台湾)」という冗談まで生まれた。

しかし最近10年余りで、台湾は自国の工科大学を集中的に育成し、人材養成システムの拡充に乗り出した。4年前からは将来的な工科大学人材不足に備えた長期戦略まで打ち出した。2021年には「国家重点分野の産学協力および人材養成革新法」を制定した。これに基づき、大学9校が半導体専門研究所を新設した。半導体や人工知能(AI)などの主要分野は学部課程で10%、大学院課程で15%増員された。かつて留学に頼っていた工科大学は、政府支援を受けて積極的に外国人材も受け入れている。かつて「鬼島」と呼ばれた台湾が、「機会の島」に変貌を遂げている。

教育の質も変わりつつある。台湾の工科大学は早くから起業拠点に生まれ変わっている。台湾の名門大学とされる国立台湾大学は10年前、「台湾版シリコンバレー」を目指してDスクール(デザインスクール)を設立。工科大学生が中心となり起業を学び、教授も企業代表を兼任するケースが多い。工科大学の起業人材は大手半導体企業に進出する一方で、中小企業を育て、低成長にあえいでいた台湾経済に活力を与えたとの評価を受けている。

韓国でも工科大学と企業が連携した契約学科が増え、「AI」を冠した教育課程がブームのように広がっている。しかし実効性はまだ乏しい。台湾のように産学協力をさらに強化し、政府が長期的なロードマップを持って予算を支援する必要がある。工科大学の教育を時代に合わせて改革し、学生が起業できる道を広げれば、医学部偏重による社会問題の解消にもつながるかもしれない。