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「言論弾圧への屈服」反発受け 米ABC番組「ジミー・キンメル・ライブ」6日ぶり再開

「言論弾圧への屈服」反発受け 米ABC番組「ジミー・キンメル・ライブ」6日ぶり再開

Posted September. 24, 2025 08:51,   

Updated September. 24, 2025 08:51


米ABCテレビの深夜トーク番組「ジミー・キンメル・ライブ」が23日(現地時間)、6日ぶりに放送を再開する。番組はチャーリー・カーク氏(保守団体ターニングポイントUSA創設者兼代表)に関する発言をめぐり17日から放送中断となっていたが、トランプ政権による言論の自由への脅威に屈したとの批判が高まり、親会社の米娯楽大手ウォルト・ディズニーが放送再開を決めた。

米紙ニューヨーク・タイムズなどによると、ディズニーは同日声明を出し「数日間にわたり(司会者の)ジミー・キンメル氏と深く話し合った結果、23日に番組を再開することにした」と発表した。ディズニーは17日の放送中断について「キンメル氏の一部発言が不適切かつ無礼であると判断したため」と説明した。米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、同日午前、ディズニー幹部がキンメル氏と会い、放送再開の時期や復帰メッセージについて合意したという。

キンメル氏は15日の番組で、「MAGA(トランプ氏のスローガン『米国を再び偉大に』)の一味は、カーク氏を殺害したこの若者を、自分たちの仲間ではないと描写することに必死で、この事件から政治的利益を得ようとあらゆる手段を講じている」と発言。これにMAGA陣営が猛反発した。さらに、トランプ氏が任命した米連邦通信委員会(FCC)のブレンダン・カー委員がABCに対し「放送免許を取り消すこともあり得る」と警告した。

これを受け、ABCは17日、番組中断を発表。すると「言論の自由が侵害された」との批判が映画・放送業界で一気に高まった。ハリウッドの5つの労働組合(計40万人)が「ディズニーは卑怯だ」と非難声明を出した。全米脚本家組合はカリフォルニア州バーバンクのディズニー本社前で抗議デモを行った。抗議の一環として、ディズニーの動画配信サービス「ディズニープラス」の解約も相次いだ。さらに一部保守層からも、言論の自由が損なわれるとの懸念の声が上がった。

番組再開の報道を受け、民主党のチャック・シューマー上院院内総務はX(旧ツイッター)に「トランプ氏とカー氏による人権侵害に立ち向かうものだ」と歓迎の意を表明。民主党所属のアナ・ゴメスFCC委員も「言論の自由を封じ込めようとする試みに立ち向かったすべての米国民に感謝する」と述べた。一方、カーク氏の妻が率いるターニングポイントUSAは「(キンメル氏の番組の復帰は)ディズニーとABCの誤りだ」と批判した。

米メディアは、一部の保守系地方局がキンメル・ライブの放送を拒否する可能性があると報じた。ABC系列局を多数傘下に持つシンクレア・ブロードキャスト・グループは「番組復帰は検討中で、23日は代わりにニュース番組を放送する」と明らかにした。