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夜の潮干狩りで事故多発 5年間で38人死亡・行方不明

夜の潮干狩りで事故多発 5年間で38人死亡・行方不明

Posted September. 17, 2025 08:04,   

Updated September. 17, 2025 08:04


先月8日、忠清南道唐津(チュンチョンナムド・タンジン)で「潮干狩りに行く」と言い残して家を出た50代の男性が行方不明となり、2日後に遺体で発見された。5月には全羅北道扶安(チョンラプクト・プアン)で潮干狩りをしていた女性2人が溺れ、うち1人が死亡した。

仁川(インチョン)海洋警察署・霊興(ヨンフン)派出所所属の故・イ・ジェソク警査(34)が、干潟に取り残された中国籍男性を救助しようとして殉職した事故をきっかけに、潮干狩りの安全性への懸念が再び高まっている。最近5年間で、潮干狩り中に干潟に取り残されて死亡または行方不明になった人は38人にのぼることが分かった。

●4年間で干潟孤立事故288件

イさんが11日未明、単独で干潟に出動したのは、潮干狩り中に孤立した70代の中国籍男性を救うためだった。男性は貝殻で足を深く切り、身動きできない状況だった。イさんは自分の救命胴衣を着せ、手袋を脱いで足にかぶせた後、脱出を試みたが、激しい潮流にのみ込まれ殉職した。事故当時は満ち引きの差が最も大きい「大潮」で、自治体は夜間の潮干狩りを控えるよう呼びかけていた。

潮干狩りは干潟で貝、タコ、カニなどを採取する行為で、特に夜間は貝類の活動が活発になるため「夜間の潮干狩り」を行う人が多い。しかし、潮の満ち引きや潮汐情報を十分に確認せずに入ると急激に危険が増す。潮が満ち始めると干潟の地形上、脱出路が限られ、視界も悪いため方向を失いやすい。霊興島は市民が潮干狩りを目的に訪れる場所で、事故前日の10日夜には200人以上が干潟にいたという。

満潮の速度は時速7~15キロと、成人が陸上を早歩きする速度に匹敵する。足が干潟に取られて動きが遅れると、体力のある成人でもあっという間に流されてしまう。

2021年から先月までに、全国で発生した干潟孤立事故は288件。このうち38人が死亡または行方不明となった。21年83件、23年67件と、2桁台で推移している。同期間に海洋警察が救助した市民は430人にのぼる。

海洋警察は仁川市などと連携し、ドローンで干潟を巡回したり、危険区域に警告放送を流したりしているが、急増する人出に対して人員や装備は不足している。干潟は面積が広く見通しの悪い場所が多いため、リアルタイムでの監視には限界がある。今年5月、国会に地方自治体が夜間潮干狩りの時間を制限できるようにする水産資源管理法改正案が提出されたが、いまだに常任委員会で審議中だ。

韓国海洋安全協会のパク・ゴンテ会長は、「潮干狩りは単なる趣味と考えられがちだが、危険性が高いため安全装備の着用義務化や、時間・区域制限、ドローン巡回の拡大など制度的な補完が必要だ」と指摘した。

●「ずさんな対応・隠蔽」疑惑で海洋警察幹部を待機発令

海洋警察庁は、イさんの殉職に関連し、2人1組で出動する規定違反や事件の口止め指示などの疑惑が浮上した仁川海洋警察署長、霊興派出所長、同派出所チーム長の3人を待機発令とした。

特に、霊興派出所の勤務日誌が虚偽記載されていた疑惑も出ている。イさんの同僚4人が記者会見で「午後9時から午前3時まで6時間休憩した」と証言したのに対し、勤務日誌には6人が3時間ずつ交代で休憩したと記録されていた。派出所運営規則では、夜間の休憩時間を3時間以内と定めている。

海洋警察は外部専門家6人で構成した真相調査団の活動を中止し、独立した新たな調査体制を検討している。これは李在明(イ・ジェミョン)大統領が「外部機関による厳正な調査」を指示したことを受けた措置だ。海洋警察関係者は「方針が決まり次第、徹底的に真相を解明する」と述べた。

一方、海洋警察内部では記者会見を通じて「口止め指示」を告発したイさんの同僚4人を批判する声も出ている。遺族側は「記者会見は海洋警察庁長の許可を得たものだ」として自制を呼びかけた。キム・ヨンジン海洋警察庁長は前日、事故の責任を取り辞意を表明した。


仁川=コン・スンベ記者 ksb@donga.com