
最近相次ぐ「交際相手による殺害」の悲劇を防ぐために、警察は交際相手同士の暴力にもストーキング処罰法を積極的に適用することにした。この法を適用すれば、被害者が望まなくても加害者を処罰することができるため、これまで死角地帯にいた被害者を迅速に分離・保護できる。警察庁は10日、このような内容を盛り込んだ「交際暴力対応総合マニュアル」を全国に配布したと明らかにした。
●被害者が望まなくても加害者を隔離・処罰
これまで交際相手からの暴力は、暴行・傷害など反意思不罰罪が適用されることが多く、被害者が「引き続き交際中」とか「処罰を望まない」と言えば、警察が積極的に介入しにくかった。警察庁によると、交際相手による暴力の通報は、2017年の3万6267件から昨年は8万8394件へと2.4倍に増えたが、同期間の検挙人員は、1万236人から1万4700人へと43.6%増に止まった。国会立法調査処は、「(被害者の)処罰不願が原因かもしれない」と分析した。
警察がマニュアルで提示した事例はこうだ。恋人同士のA氏とB氏は、暴行・口論で112通報が10回以上寄せられたが、被害者のB氏が「普段は大丈夫だ。ずっと付き合っていて処罰は望まない」と陳述すると、加害者の隔離がなされなかった。今後は、このような場合もストーカー処罰法を適用する。同法の反意思不罰条項は2023年に廃止され、被害者の意思と関係なく処罰できる。警察は、暴行で112通報が寄せられれば、「相手の意思に反したアプローチ」と判断し、住居地から100メートル・電気通信へのアクセス禁止など緊急措置を職権発令し、直ちに分離できる。
先月、大田(テジョン)では20代の男が、付き合っていた女性を凶器で殺害する1ヶ月前も、女性を暴行したり脅迫したりして警察が出動したが、被害者が処罰不願書を提出したという理由で隔離措置が行われなかった。昨年4月、慶尚南道巨済市(キョンサンナムド・コジェシ)では、20代の男が10代の女性に暴行を加え、11回も通報したが、同様に被害者が処罰を望まないと明らかにし、分離措置が行われなかった。結局、女性は殺害された。新しい基準なら、繰り返しての通報そのものが被害者の不安と危険のシグナルと見なし、早期介入の根拠になるという説明だ。
●繰り返される口論も交際相手の暴力の危険シグナルとして管理
警察はストーカー処罰法のほか、交際相手による暴力によく伴う犯罪を積極的に立件することにした。△常習暴行、△携帯電話の無断閲覧(情報通信網法違反)、△危険物脅迫(特殊脅迫)などは被害者の意思と関係なく処罰できる。
またマニュアルは、物理的暴力のない言い争い・相談など比較的軽い通報も、「交際暴力」のコードで管理するようにした。見た目は軽微な事件も、累積すれば危険シグナルと把握し、再犯を防ぐという趣旨だ。
警察はマニュアルを現場に直ちに適用すると同時に、立法補完にも乗り出す。ストーキング犯罪の発生時は、裁判所の暫定措置(100メートル以内・電気通信へのアクセス禁止、拘禁など)を検事を経ずに直接請求できるよう法改正を推進している。先月26日、京畿道議政府市(キョンギド・ウィジョンブシ)で起きたストーキング殺人事件は、50代の女性が元職場の同僚を3回ストーキングと通報したが、暫定措置の申請が検察で棄却され、結局惨事へとつながった。現在、緊急措置は職権発令が可能だが、暫定措置は検察を経なければならない。
専門家たちは、警察のマニュアル改正を喜びながらも、物理的隔離措置を強化しなければならないと指摘した。昨年基準で、交際相手による暴力の検挙人員の中で拘束された被疑者の割合はわずか1.9%に過ぎず、より積極的な拘禁措置が必要だという。韓国女性の電話・女性人権相談所のキム・スジョン所長は、「現在『100メートル以内への接近禁止』の措置は、現場で効果がないことが多い」とし、「加害者拘禁などをより積極的に施行しなければならない」と述べた。
チョン・ナムヒョク記者 forward@donga.com






