来月1日から韓国からの輸入品に予定通り25%の相互関税を課すというトランプ米大統領の書簡が韓国に届いた。米国を満足させる交渉案を今月中に提示せよという督促状だ。関税の賦課まで3週間の時間があるが、関税ショックで三星(サムスン)電子、LG電子、現代(ヒョンデ)自動車などの輸出企業の業績が悪化しており、韓国は交渉において不利な状況に置かれている。
韓国と日本は米国の軍事同盟国であるにもかかわらず、書簡を受け取った14ヵ国の中で第1、第2の標的となった。韓国が米国と締結した自由貿易協定(FTA)は考慮の対象にすらならなかった。交渉が進展しなかった日本は、当初より1%高い25%の関税率を受け入れた。20%の関税が予定されていた欧州連合(EU)が除外された背景には、10%の関税を受け入れて交渉中であること、加盟国の大半が重なる北大西洋条約機構(NATO)が米国の意向に従い国防費の割合を国内総生産(GDP)の5%に引き上げることを決定したことが反映されたとみられる。
トランプ氏は書簡で、「貴国が閉鎖されていた貿易市場を米国に開放し、関税・非関税障壁などを除去すれば、(関税の)調整を検討し得る」と述べた。3週間以内に満足のいく提案を示さなければ関税率を下げないという圧力だ。韓国としては、造船業での協力、米国の液化天然ガス(LNG)の輸入拡大など、すでに公開されているカード以上の交渉案を検討せざるを得なくなった。
関税爆弾が本格化する前であるにもかかわらず、韓国企業の業績はすでに悪化の一途をたどっている。一時的に課された10%の関税による家電の業績悪化、半導体の不振が重なり、第2四半期の三星電子の営業利益、売上高は前年同期比でそれぞれ55.9%、0.1%減少した。同期間のLG電子の営業利益、売上高も46.6%、4.4%減少した。いずれも市場予測を大幅に下回る「アーニングショック」レベルだ。25%の品目関税が課された現代自動車・起亜(キア)と50%の関税を受けたポスコ・ホールディングスは、第2四半期の営業利益も減少する可能性が高いと市場は見ている。
韓米通商交渉でいかなる状況でも最後まで守り抜かなければならないマジノ線は、自動車・半導体・家電・鉄鋼など対米主力輸出品の競争力を損なわない合理的な水準の関税率だ。そのためには、政治的・経済的な負担があっても、防衛費の増額や敏感品目の市場開放といった痛みを伴う困難な決断まで考慮する必要がある。限られた時間、厳しい条件の中ですべてを守ろうとした結果、より大きな損失を招くようなことがあってはならない。
アクセスランキング