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トランプ大統領の圧力で国防費を増やした欧州のジレンマ

トランプ大統領の圧力で国防費を増やした欧州のジレンマ

Posted June. 30, 2025 08:27,   

Updated June. 30, 2025 08:27


先週、欧州では「パパと子」論争で一騒動があった。25日(現地時間)、北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長が米国を校庭でのけんかに介入する「パパ」に例えたためだ。NATO首脳会議に出席したトランプ米大統領が、戦争中のイスラエルとイランを「校庭でけんかする子どもたち」と表現すると、ルッテ氏は「パパは時に強い言葉を使う必要がある」と同調した。欧州では「媚びすぎだ」「プライドが傷つく」といった不満が噴出した。

欧州の米国への迎合は言葉だけではなかった。NATO加盟32ヵ国は首脳会議後、「2035年までに国防費を国内総生産(GDP)の5%水準に引き上げる」と宣言した。これは、トランプ氏が米国のNATO脱退の可能性を示唆しながら国防費増額を迫った際に提示した数値だ。欧州は結局、「パパの言うことをよく聞く子ども」のように即座に動いた格好となった。

国防費増額宣言の後、欧州各国の本音は非常に複雑だ。多くの国が守れない約束をしたことになるからだ。国家債務があまりにも深刻で、国防費を目標通りに増やすのは難しいという見方が多い。欧州連合(EU)によると、昨年時点でユーロ圏(ユーロ使用20ヵ国)の国家債務は平均87.4%だ。5%目標を達成できる加盟国は、ドイツ、ポーランド、バルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)、スカンジナビア諸国(スウェーデン、ノルウェー、フィンランド)だけという研究機関の分析もある。

限られた予算で国防費を増やすには、他の分野の予算を削らざるを得ない。しばしば標的になるのは福祉だ。このため「欧州はもはや福祉(welfare)国家ではなく戦争(warfare)国家」という声も上がっている。福祉予算の削減も容易ではない。欧州は移民増加や出産奨励政策で高齢化問題を克服したとされるが、それでも高齢人口の割合は高い。EU人口における65歳以上の割合は昨年21.6%で、10年前より2.9ポイント増加した。

「国家財政を節約しよう」と言うのは簡単だが、実際に実行するのは現実的に難しい。財政緊縮の試みは国民の不満や政治的分裂を招き、政府の空白状態にまで至ることもある。フランスでは昨年12月、当時のバルニエ首相が600億ユーロ(約96兆ウォン)を削減する予算案を提出したが、野党の激しい反発により就任から3ヵ月で辞任し、内閣が62年ぶりに崩壊する事態となった。

支出分野を調整するのも、支出総額を減らすのも難しいため、結局支出自体を増やすしかないという共通認識が生まれている。イタリアなど一部の国は、EU執行委員会に対し、加盟国ごとの債務上限を制限する「財政準則」の調整を求めている。執行委員会は国防支出に限って規制を緩和する「欧州再武装政策」を打ち出した。結局、債務を増やさざるを得ないという懸念が高まっている。こうして債務が増えれば、長期的には政府の支出がさらに困難になり、経済の活力も低下する可能性が高い。ただでさえ深刻な経済停滞がさらに悪化する恐れもある。欧州諸国はまさに進退窮まった状況にある。

韓国は欧州に比べてGDP比の国家債務比率が低いため、積極的に財政を使ってもよいという声がよく聞かれる。今のように経済が厳しい時期には、政府の支出が必要な場合もある。しかし、財政支出が効率的か、無駄な支出がないか、より綿密に検証すべき時だ。経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で、少子化も高齢者貧困率も1位の韓国における債務増加のスピードに対する懸念の声は、すでにさまざまな形で提起されている。欧州よりましだからといって安心できる状況ではない。