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米国3時、中国9時の間で

Posted June. 14, 2025 09:42,   

Updated June. 14, 2025 09:42


魏聖洛(ウィ・ソンラク)国家安保室長は、韓国外交の位置を時計の針の位置で説明したことがある。米国が3時なら、中国は9時だ。米中がそれぞれ自国側に引き寄せようとするなら、米国に近づきながらも中国と完全に離れすぎない1時や1時半の座標を取るべきだということだ。米国の同盟国であるオーストラリアと日本は2時半と2時、米国を牽制するBRICSと中国を牽制するQUAD(クアッド)に参加するインドは12時半程度と見なした。魏氏が方向とともに強調したのは一貫性だった。時計の針が大きく揺れ動けば信頼を得ることができず、あまりにも一方に傾けば反対側を説得することができないという意味だろう。

不幸にも韓国外交は方向と一貫性の両方が不安定だった。朴槿恵(パク・クンヘ)元大統領が中国の習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領とともに天安門の楼閣に上ったことは議論を呼んだ。12時方向に近かった。しかし間もなく韓中関係はTHAAD(高高度迎撃ミサイルシステム)配備によって悪化の一途をたどった。最初から韓国の安全保障問題だと堂々と説明すべきだったが、それができなかったため、中国に「裏切られた」と非難される口実を与えた。時計の針は大きく揺れた。

文在寅(ムン・ジェイン)元大統領は、任期初年の訪中時、中国に低姿勢だった。THAAD問題を収束させたが、米国には親中政権という疑念を抱かせた。時計の針は再び12時を指した。任期末には韓米首脳会談の声明に台湾、南シナ海問題が含まれた。中国牽制への参加と解釈されたこの変化に、中国は「火遊びをするな」と強く反発した。時計の針は再び大きく揺れた。

尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領は時計の針をほぼ2時まで回した。米国の中国包囲に積極的に参加した。尹氏の台湾問題発言に対し、中国は「火遊びをすれば必ず焼け死ぬ」と激しく反発した。自由陣営の強固な一員となることで中国と堂々と対峙できるという論理だったが、実際には中国を対話の相手として説得する戦略は見えなかった。

この10年間は米中覇権競争が激化する時期だった。その中心で外交の座標を設定すべきだったが、政権ごとに一方へ傾いたり、揺れ動いたりしながら脆弱な外交力を露呈した。その結果は米国の疑念や圧力、中国の反発や報復だった。米中の間に挟まれた韓国の立場はますます不安定になった。

李在明(イ・ジェミョン)大統領は米国、日本、中国の順で首脳電話会談を行った。韓米日協力の枠組みから外れず、中国批判の先頭には立たないという方向性がうかがえる。しかし、李氏も過去の言動を振り返ると、外交の時計の針が大きく揺れ動いた。「謝謝(ありがとう)」発言や韓米日協力および韓日関係に対する激しい批判は、その志向が12時を向いているように見えた。大統領選挙の過程で進路を修正したのは、その懸念を払拭するためだったのだろうが、一貫した原則となるかどうかは今後の動向を見守る必要がある。

北東アジアで互いの影響力を押し出そうとする米中対立の強い反発力は、韓国をそれぞれの方向へ引き寄せようとする引力をさらに強めている。「安米経中(安全保障は米国、経済は中国)」は許されないという米国の警告には、韓国が安全保障と経済の両面で中国抑止戦線に積極的に参加せよという要求が込められている。「相互の核心利益と重大な懸念を尊重せよ」という習氏の発言には、台湾問題など中国批判から距離を置けという圧力がうかがえる。

こうした状況では一貫性が重要だ。1時でも1時半でも方向を定めたならば、その振れ幅を大きくしてはならない。米国の前では米国に迎合し、中国の前では中国におもねる場当たり的な外交は不信を招く。時計の針を大きく揺らさないためには、特に台湾、在韓米軍など敏感な問題ごとに精密な原則を確立する必要がある。その原則に基づいた柔軟な外交が繰り返されるほど、韓国の外交の重みが増し、「ここだけは譲れない」という外交の防衛線を持つことができる。そうすることで、韓国の決定に不満があっても尊重され、説得力を持つことができる。その舞台では、大統領の発言一つ一つが選挙前とは異なり、極めて慎重であるべきなのは言うまでもない。