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1万5千ウォンで人生の労苦を癒す、人情あふれる韓定食

1万5千ウォンで人生の労苦を癒す、人情あふれる韓定食

Posted June. 06, 2025 08:25,   

Updated June. 06, 2025 08:25


外国の料理と比較したとき、韓国料理の最も際立った特徴は何かと考えたことがある。外国の友人たちの話を聞くと、何よりも食卓に並ぶ圧倒的に多様な副菜の数だ。彼らの目には、それらの副菜が一品料理のように高級に見えるという。西洋にも前菜やデザートのように、料理に個別の意味を持たせる伝統はある。しかし、韓国料理のように無差別に、全面的に食卓に並べられる圧倒的な豊かさの前では、外国人も驚かざるを得ない。「ハンサンチャリム(韓床の膳立て)」という表現があるのもそのためだ。

しかし、韓国人にとっても、きちんとした韓定食を食べる機会は少ない。韓定食は、礼儀や格式を重んじる場面で選ばれることが多い。価格もやや高めに設定されており、一般庶民が1年に数回しか味わえないほどだ。筆者が調べたところ、ソウルの仁寺洞(インサドン)や江南(カンナム)の有名な韓定食店では、1人分の価格が5万~9万ウォン程度に設定されている。アワビ焼きやワタリガニの醤油漬け、プルコギ、トッカルビなどのメインメニューと副菜の種類によって、韓定食の内容は異なるのが一般的だ。

ところが、ソウル西大門区新村(ソデムンク・シンチョン)から麻浦区老姑山洞(マポク・ノゴサンドン)へ続く通りに、驚くべき韓定食を味わえる店がある。40年間、食事を提供してきたという全羅北道群山(チョンラプクト・グンサン)出身の60代後半の女性店主が運営するこの店では、わずか1万5千ウォンで旬の食材を使った20種類以上の副菜を味わうことができる。

具体的に挙げると、ツルマンネングサのナムル、山ぐらげのナムル、ホウレンソウ、豆もやし、緑豆もやし、セリ、大根の芽など、新鮮な野菜を使った風味豊かなナムルや各種漬物が次々と食卓に並ぶ。さらに、茎わかめ、ハムとソーセージ、練り物、ししとうと煮干し、ウズラの卵、豆腐とクルミを使った煮物や炒め物が続く。それだけではない。絶妙な味付けのキュウリキムチや大根キムチ、そして店主の故郷が全羅道地方であることを思わせるガンギエイの刺身まで提供される。この店の韓定食のメインメニューは、玉石で焼いたプルコギだが、包んで食べる野菜とともに、汁物がないと物足りないだろうと考えたのか、深みのあるユッケジャンも添えられる。こうした料理を目の前にすると、少し誇張して言えば、人生の苦労が報われるような気さえしてくる。

この店では、副菜を盛る器も、小さくてつまむ程度のものではない。1人で訪れても、2人で訪れても、副菜は1つの器に3~4人分の量がたっぷりと盛られる。どうして可能なのか。その答えは、正直に良い食材を使いながらも、価格の負担を抑え、大量販売を実現したからだ。実際、すでに評判が広まり、外国人観光客はもちろん、団体客の予約が絶えず、昼食や夕食のピークタイムには行列ができるのが当たり前になっている。運が悪ければ、入店すらできず、引き返さなければならないほどだ。

食事中、食材を仕入れる取引先と電話で話す店主の素朴で温かみのある声が聞こえてくる。その内容を要約すると、「じゃあ、一番大きくて、一番良いものを1箱持ってきてください」というものだった。韓定食に対する固定観念を変えつつあるのは、店主のこうした思いなのだろう。一番大きくて良いものを、一生懸命働く人々にたっぷりと食べさせたいという気持ち。それは、夕日が沈む群山の海のように温かく、崇高な心だ。