
先月、京畿道(キョンギド)のある中学校では、3年生の男子生徒10数名がディープフェイク(人工知能・AI画像合成)技術を利用して、同じクラスの女子生徒のわいせつ写真を作成したことが発覚し、学校暴力対策審議委員会が開かれた。彼らは数ヵ月にわたり、特定の女子生徒の写真を数十回に渡ってわいせつ物として合成し、SNSでやり取りした。事件を担当した性犯罪被害専門のキム・ウンジョン弁護士は、「被害女子生徒の精神的ショックが極めて大きい」とし「最近1、2年の間に生徒たちが起こすサイバー性暴力が体感で2倍以上に増えた」と話した。
●サイバー性暴力、3年で4.8倍増加
最近、小・中・高校でこのようなサイバー性暴力事件が増加している。学校暴力予防専門機関「プルンナム財団」が22日に発表した「2025全国学校暴力実態調査結果」によると、昨年11月から今年の2月まで青少年1万2002人を対象にアンケート調査を行った結果、回答者の3.1%が「学校暴力被害に遭った」と回答した。そのうち17.8%はサイバー暴力を経験した。特にサイバー性暴力を受けた生徒は13.8%だった。
昨年7月、ソウルのある高校では、2年生の男子生徒が同じクラスの女子生徒のSNSの写真をスクショしてディープフェイクでわいせつ物を作成した。この男子生徒は女子生徒になりすましてX(旧ツイッター)アカウントを作成し、金銭を受け取ってこのわいせつ写真数十枚を販売した。今月15日、済州(チェジュ)のある国際学校では、女子生徒11人の裸の写真を合成して流布した10代の男子生徒が逮捕され、少年部に送致された。
2023年に改正された学校暴力予防法によると、このような「サイバー暴力」も学校暴力に含まれる。サイバー暴力の被害事例を類型別に見ると、サイバー言語暴力が31.9%で最も多く、サイバー名誉毀損(13.5%)、サイバー性暴力(13.3%)、サイバーいじめ(11.3%)などが続いた。中でもサイバー性暴力は21年の2.8%から昨年には13.3%へと3年間で約4.8倍増加した。新技術の習得が早い生徒たちがAI技術で手軽にクラスメートのディープフェイクわいせつ物を作成して流布する、新たな形の学校暴力を犯しているのだ。
●被害生徒の10人中7人が自殺・自傷行為の衝動
サイバー暴力を受けた生徒は、一般的な学校暴力を受けた生徒よりも、自殺や自傷行為の衝動を経験する割合が高かった。財団の調査結果、サイバー暴力の被害生徒の自殺および自傷行為衝動の経験率は47.5%で、学校暴力被害生徒全体の平均(38.0%)よりも9.5ポイント高かった。特に、サイバー性暴力を経験した生徒の自殺・自傷行為衝動率は65.6%にも達した。財団関係者は、「ディープフェイク物のようなサイバー性暴力は、オンラインで広範囲に拡散され、永久削除が難しい」とし、「これを学校暴力と認識できない大人たちの2次加害も頻繁に発生し、被害生徒の苦痛が大きくなる」と説明した。
今年1月に学校暴力予防法が改正され、ディープフェイク映像などを制作することもサイバー暴力の類型に含まれた。しかし、専門家らは現在の青少年への処罰水準が低いと指摘する。東国(トングク)大学警察行政学科の李潤鎬(イ・ユンホ)名誉教授は、「満14歳以上の犯罪少年の場合、刑事処罰も可能だが、実際に青少年のサイバー性暴力で実刑判決が下されるケースは極めて少ない」とし、「このように低い水準の処罰は、被害生徒に対する適切な措置とは言えない」と指摘した。
被害が広範囲に及んでいるにもかかわらず、サイバー暴力に対するプラットフォーム企業などの対処が不十分という指摘もある。財団が学校暴力加害生徒を対象に調査を行った結果、加害生徒の81.4%は、加害後にプラットフォームを利用する上で何の制裁も受けなかったと回答した。「プルンナム財団」は、「プラットフォーム事業者がディープフェイクわいせつ物の削除および加害青少年に対する警告、利用制限などの措置を迅速に履行するよう法的根拠を設け、措置未履行の場合に制裁を科す法制化が必要だ」と提言した。
イ・チェワン記者 イム・ジェヒョク記者 chaewani@donga.com