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防弾ガラスまで登場した遊説現場、極端な対立の自画像

防弾ガラスまで登場した遊説現場、極端な対立の自画像

Posted May. 20, 2025 08:50,   

Updated May. 20, 2025 08:50


最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)候補の大統領選挙遊説に、防弾ガラスが初めて登場した。李在明氏が19日に演説したソウル龍山(ヨンサン)駅の演壇の左右45度の位置に、縦横1メートルの大きさの防弾ガラス板1枚と、それより小さい防弾ガラス板2枚が台の上にたてられた。3つとも厚さが5センチに近かった。「ロシア製狙撃用小銃が搬入されたという情報提供が入手されるなど、テロ脅威が大きくなっている」というのが民主党の説明だ。しばらく防剣服を着ていた李在明氏は、先週から防弾服を着用したまま選挙運動を進めている。日常になった極端な対立が、今や狙撃テロまで心配するようになってしまった悲しい自画像と言わざるを得ない。

警察は、李在明氏関連の殺害脅迫文を書いた2人を特定したのに続き、改革新党の李俊錫(イ・ジュンソク)候補への殺害脅迫文1件についても捜査していると明らかにした。警察は、候補の脅威が大きくなったと判断し、担当機動隊を投入するなど、3重の防御幕を張っていると説明した。各党の候補たちの遊説現場には警察特攻隊と探知犬が配置され、遊説場周辺の屋上には狙撃防止チームが投入された。

大統領選候補のテロが口先だけでなく現実になったということで、警戒を緩めることはできない。李在明氏は、総選挙を3ヵ月後に控えた昨年1月、釜山(プサン)で首を凶器で攻撃されたこともある。2022年の大統領選挙の時は、当時民主党代表が支援遊説の途中にハンマーで頭を殴られた。非常戒厳後、弾劾という政治的問題に直面した後は、政治的怒りの表出対象ではなかった司法府までがテロの対象になった。ソウル西部地裁が暴力的乱入事態を経験し、李在明氏の破棄差し戻しを決めた最高裁に今月初め、大学生が進入しようとして捕まったこともある。

いつからか政治的見解が違うという理由で、相手を敵視する風潮が生まれた。政治家たちは暴言と嫌悪の先頭に立って、一部の政治ユーチューバーが金儲けの目的でこれを極端に拡散させ、ここに政治的過没者が刺激されて行動に乗り出し、これを再び政治家たちが活用しようとする悪い循環の輪が生まれた。

6・3大統領選挙が半月後に迫り、期日前投票の開始まで残り10日となっている。警察は、警察として同期間、警護業務に万全を期さなければならないが、政界や有権者ともに冷静にならなければならない。政治的極端と憎悪を容認しないという意志が必要だ。戒厳後、混沌の6ヵ月を耐えて迎えた早期大統領選挙は、国政安定と葛藤解消が候補たちの最優先課題にならざるを得ない。このような選挙がかえって混乱を煽る契機になってはならない。