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年間5000億ウォンの血税はかかるが、ストにはお手上げのソウルバス

年間5000億ウォンの血税はかかるが、ストにはお手上げのソウルバス

Posted May. 13, 2025 09:03,   

Updated May. 13, 2025 09:03


昨年3月28日、12年ぶりにソウル市内バスがストライキに突入した日、ニュースに接することができなかった一部の市民は、バス案内の電光掲示板の中の「出発待ち」のバスをひたすら待っていた。当時、ソウル市内バスの運行中断率は97.6%。事実上バス運行が全面中断となっていた。

1年ぶりに再び市民の足を引っ張る危機に直面している。8日、韓国労働組合総連盟(韓国労総)所属の全国自動車労組連盟は、27日までに合意案が成立しなければ、28日の始発からソウルをはじめとする全国17市・道バスが同時ゼネストに突入すると明らかにした。現実化すれば、ソウル市内バスはもちろん、高速・貸切・マウルバスなど全国4万台規模のバスが同時に止まるものと予想される。

ソウル市バス労組と会社側は、ボーナスと通常賃金の適用範囲を巡り、対立してきた。昨年12月、最高裁全員合議体の判決により、労組は定期ボーナスを通常賃金に含めなければならないと主張している。一方、会社側は、賃金体系全般に対する見直しが必要だと対抗している。ソウルの交渉結果が他の地方自治体にも影響を及ぼしかねないだけに、労組は連盟レベルでの対応に乗り出している。

今回の交渉の会社側は、ソウル市バス運送事業組合だが、賃上げにともなう負担を負うのは事実上ソウル市だ。バス運送で発生した赤字を時価予算で補填する準公営制構造のためだ。ソウル市が準公営制に投入する予算は、毎年5000億ウォン前後。ソウル市が今年、労組側の要求を全て受け入れれば、1年に投入される予算は8000億ウォンに達すると試算している。ソウル市民1人当たりの負担金額は年間3万ウォンが増え、計8万8000ウォン程度になるという。

毎年数億ウォンの血税が投入されるが、ストライキによる市民の不便を減らす方法はない。労組法上、必須公益事業に指定された地下鉄と違って、バスは「必須人材規定」が別途に存在しないためだ。このため、昨年のストライキ当時、一部の市民は電光掲示板の中の「出発待ち」がコンピューターエラーだと思ってひたすら待つハプニングが起きる場面もあった。ソウル市は、「バスは人材規定もなく、免許を所持した代替人材の確保も容易ではなく、立法レベルでの議論が必要だ」として対策準備を予告した。

しかし、いざ昨年10月に発表された準公営制の革新案には、このような内容が漏れている。ソウル市の関係者は、「ストライキ時の必須人材の規定は、方針として決められる事案ではないので、雇用労働部などに建議したが、市内バスは民営で運営される所が多く、(制度改正は)難しいという回答を受けた」とし、「現在としては、バス労組が全面ストライキに出るとしても、運行義務率を維持する手立てがない」と吐露した。

必須公益事業の指定を生半可に拡大すれば、労働権を制約できるということは十分に共感される。だが、人口減少によるバス会社の財政難と、高齢層の移動権保障のために、地方自治体が市内・マウルバスに投入する予算はますます増えている。数億ウォンの血税が投入されるにもかかわらず、賃金交渉の度に市民の足が人質になる現実は望ましくない。自治体と労使双方は、市民の被害を最小化できる合理的な制度と代案を一緒に考えなければならない。