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司法リスクと候補一本化だけに固執する大統領選挙は正常か

司法リスクと候補一本化だけに固執する大統領選挙は正常か

Posted May. 06, 2025 09:46,   

Updated May. 06, 2025 09:46


6・3大統領選挙が4週間後に迫った。今週末には候補登録が行われるが、最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)候補の「司法リスク」、与党「国民の力」の金文洙(キム・ムンス)候補と韓悳洙(ハン・ドクス)前首相との「候補一本化」問題が、全ての大統領選のイシューを吸い込んでいる。反憲法的な戒厳、大統領罷免によって行われる早期大統領選であるにもかかわらず、どのように国を正常化し、未来に進むのかについての議論やビジョンの対決は影を潜め、世論調査1位候補の裁判問題、公党が選出した候補と党外の候補との間の一本化問題にばかり夢中になっているのだ。

これは、ただ大統領の座を掴むことだけに没頭してきた政界が招いた面が大きい。「国民の力」は、予備選の時から韓氏の出馬を既成事実として受け止め、候補が選出されるとすぐ一本化局面へと移行しようとしている。しかし、いざ同党の大統領候補に選出された金氏が韓氏との一本化に消極的な態度に転じたため、不協和音が生じているのだ。韓氏の突然の出馬による一本化問題で、争いの罠にかかるのではないかという懸念が現実となったのだ。両氏は地方訪問も政策発表も後回しにしている。

迅速な一本化の可能性が遠のくと、「国民の力」の議員らは5日夕方に緊急議員総会を開き、金氏に一本化を迫り、「韓悳洙であれ金悳洙であれ、無条件で合体して勝とう」と言っていた金氏がこれに公然と反発するなど神経戦は当分続きそうだ。

民主党も、李氏の公職選挙法違反の疑いに対する大法院(最高裁)の無罪判決の破棄、審理の差し戻し後、司法府と全面対決する構えだ。党選対委は、「公式選挙運動開始日である12日以降に予定されている公職選挙法破棄差し戻し審(2審)など5つの裁判を、選挙日以降に延期せよ」と要求した。大法院が11日までに約束しなければ、大法院長らの弾劾に踏み切ると主張した。大法院が1日に李氏に対する有罪趣旨の判決を下して以降、司法府に対して超強硬姿勢を続けているのだ。

大法院が上告審(3審)を34日で結論づけたことも、ソウル高裁が破棄差し戻し審(2審)の期日を急いで決めたことも、前例のないことだ。これは民主党が「事実上の選挙妨害」と言う根拠となった。しかし、その背景には、1審裁判が2年2ヵ月もかかるなど、裁判長期化の間、李氏が書類受付の回避と思われる行動や何度も出廷を拒否するなど、裁判を遅らせた面がある。

このように選挙がとんでもない方向に流れていく時、被害はすべて有権者が受けることになる。候補が一本化と司法リスクの沼に陥ったため、有権者は彼らの約束とビジョンを記憶することができない。また、その約束が実現可能なものなのか検証する時間も十分にない。安易に選んで後悔するということが繰り返されてはならない。