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冷麺1杯1万6千円時代の実用主義者のための「慰め」

冷麺1杯1万6千円時代の実用主義者のための「慰め」

Posted April. 25, 2025 08:54,   

Updated April. 25, 2025 08:54


随分前から、冷麺は年中食べる食べ物になった。真冬に身を切るように冷たい冷麺を食べるのが本物の味だという人もいる。いくら何でも、冷麺は暑さを感じ始めた時に涼味を求めて食べる食べ物ではないだろうか。私の主観的な見解では、だいたい春の最後の節気である穀雨を過ぎ、立夏の頃になると、人々の体内の細胞が冷麺の味を強烈に思い出し、求めるように思う。冬の間は出していなかった冷麺を一般の飲食店が再びメニューに加えるのも、まさにその頃だ。その頃から、評判の冷麺専門店は門前市をなす。

冷麺店を見ると、自ら出汁を取り、麺を手打ちして評判の高い店もあれば、食堂のように工場で大量生産された出汁と麺を仕入れて売る店もある。ところが、ソウル麻浦区(マポク)の孔徳(コンドク)駅の飲食店街にある「サンカチ冷麺」は、独特なポジションを確立している。1杯1万5千ウォンを超える高級冷麺には抵抗があるものの、食堂の冷麺では満足できないという人々に、最適な味と価格を提供しているからだ。

この店の冷麺は1杯9千ウォン。水冷麺とビビン冷麺は同じ値段だ。コスパのいい味で既に有名で、昼食時は行列が当たり前だ。水冷麺を注文し、酢とマスタードをかけて一口食べた。麺はくず粉が入っていてもっちりしている。出汁は咸興(ハムフン)式の甘みと酸味が程よく調和し、爽やかな旨味とともに、宇宙的な酸味が口いっぱいに広がった。この店では、ビビン冷麺を注文すると、出汁を別の器に入れて出してくれる。混ぜて食べながら、出汁をかけて水冷麺の味も体験してほしいという親切心からだ。濃厚な牛骨の温かいスープまでサービスで提供し、高齢者には最高の食前酒兼デザートとなる。

水冷麺を詳しく見てみると、まず麺の量と大根、キュウリの具が多いと感じた。ちょっとした間食ではなく、しっかりとした食事としても十分だ。さらに、ピリ辛の特製「タデギ」が入っていた。これをスープによく混ぜると、プクチョンピ冷麺のような辛さを楽しむことができる。サイドメニューには、焼き餃子と鉄板サムギョプサルがある。ビビン冷麺とともに食べるとより美味しいというメッセージなのだろうが、それは好みで選べば良い。

居酒屋を連想させるような清潔感のある平屋で、室内の広さは33平方メートル(約10坪)程度。テーブルが3、4個と、残りの席はバーのような1人席だ。近隣のオフィスワーカーを主な顧客としているという。そのため、家族連れには少し不便かもしれない。注文と出来上がった料理を受け取るのも、客自身でする必要がある。価格を安く抑えるための苦肉の策だろう。

もともと庶民の食べ物だった冷麺が、全世代に流行するにつれ、価格にやや割高感があるという不満の声もある。庶民の食べ物としての地位を維持しているジャージャー麺やカルククス、マッククスなどと比べると、最近の冷麺の値段は不満に思えるほどだ。そんな時、サンカチ冷麺は実用主義者たちの代案になり得る。高級な咸興冷麺とプクチョンピ冷麺の味を、1万ウォン以下という価格で孔徳というホットな場所で味わえるということだけでも、都会の会社員にとっては小さな慰めになるだろう。