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「ラトニック商務長官、トランプ大統領の意向も知らずに関税政策を指揮」批判高まる

「ラトニック商務長官、トランプ大統領の意向も知らずに関税政策を指揮」批判高まる

Posted April. 10, 2025 09:14,   

Updated April. 10, 2025 09:14

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「一貫性がなく独善的なラトニック商務長官が大統領の意向も知らずに通商政策を指揮している」

トランプ米大統領の関税政策が世界的な株価暴落など少なからぬ副作用を招き、批判を受けている中、この政策を主管する米商務省のハワード・ラトニック長官(63)に対する懸念も高まっている。叩き上げの企業家出身のラトニック氏が、荒っぽく威圧的な行動と発言を繰り返し、時には越権行為まで行っているため、ホワイトハウスの参謀や財界関係者の不満が大きいという。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、多くの人がラトニック氏を「二枚舌の独善者」「信頼できない交渉相手」などと見ていると伝えた。

米紙ニューヨーク・タイムズによると、商務省は年間予算110億ドル(約1兆6500億円)、職員5万1千人の「巨大省庁」だ。ラトニック氏の一挙手一投足が米国経済はもとより、全世界にも大きな波紋をもたらすことは間違いない。英紙フィナンシャル・タイムズは8日、トランプ氏もラトニック氏の行動を懸念しており、ラトニック氏の代わりに比較的穏健派のベッセント財務長官に日本との関税交渉を任せたと報じた。

● 二転三転する言動で批判高まる

ウォール・ストリート・ジャーナルによると、最近ラトニック氏と対面した10人以上の財界及びホワイトハウス関係者らは、ラトニック氏の頻繁な発言の変更、政策の不透明性、二転三転する言動などを問題視した。農業界関係者は、ラトニック氏が先月の面談で自身に「米国国内での生産が難しいマンゴーは相互関税免除を推進する」と話したと明らかにした。しかし、2日の相互関税発表時、マンゴーは例外品目に入っていなかった。

ラトニック氏は、エネルギー業界関係者との面談の際、「原油を相互関税の例外品目にすることはできない」という考えを示した。しかし、2日に原油は関税例外品目に指定された。

ラトニック氏は日本側にも、日本の鉄鋼メーカー、新日本製鉄のUSスチール買収を支援する意向を示したが、トランプ氏が「USスチールの売却を認めない」という立場を強調したため、手を引いたとされる。

移民政策など、自身の担当業務でない分野にも介入するという批判が出ている。ラトニック氏は、500万ドル(約7億2500万円)を払えば米国の永住権を与える「ゴールドカード」制度の考案に介入したという。また、デンマーク領グリーンランド併合、パナマ運河の統制権回復、カナダ編入など、トランプ氏の拡張主義基調を煽っていると、同紙は報じた。

ラトニック氏は最近、生放送のインタビューで議論されていない「内国歳入庁(IRS)廃止」に触れ、ひどく狼狽したという。その後、ラトニック氏に「テレビインタビューを控えるように」という指示が下されたとされる。

● 9・11生存者...政治的野心も

ラトニック氏は、ウォール街の有名投資銀行キャンター・フィッツジェラルドの最高経営責任者(CEO)を務めた。1961年、ニューヨーク州ロングアイランドのユダヤ系の家庭に生まれた。10代の頃、母親を乳がんで、父親を医療事故で亡くした。ペンシルベニア州のハバフォード大学で経済学を専攻した後、キャンター・フィッツジェラルドに入社し、CEOまで上り詰めた。

キャンター・フィッツジェラルドは、2001年の9・11テロ当時、崩壊したニューヨーク世界貿易センター(WTC)にオフィスがあった。ラトニック氏は当時オフィスにいなかったため難を逃れた。しかし、同社で働いていた弟のゲイリー氏を含め、従業員658人が命を落とした。その後、会社名を冠した救援基金を設立し、1億8千万ドル(約270億円)を支援した。

トランプ氏とは、ニューヨーク州出身の企業家であるという共通点で意気投合したとされる。トランプ氏が過去に司会を務めたリアリティ番組「アプレンティス」に08年、審査員として出演した。

政治的な野心もある。トランプ氏の当選後、ラトニック氏が財務長官職を望み、ベッセント氏と度々衝突したという報道が相次いだ。