不注意が招いた史上最大級の「怪物山火事」、復旧支援に全力を尽くせ

慶尚道（キョンサンド）地域で同時多発的に発生した山火事が、強風に乗って「怪物山火事」へと勢いを増し、手が付けられないほど拡大している。２２日に慶尚北道義城（キョンサンプクト・ウィソン）で発生した山火事は、安東（アンドン）、青松（チョンソン）、盈徳（ヨンドク）、英陽（ヨンヤン）に燃え広がり、１８人の死者を出した。２１日に発生した慶尚南道山清（サンチョン）の山火事による死者４人を含めると、今回の山火事での死亡者は２２人となり、１８年ぶりの最高記録だ。山清の山火事は智異山（チリサン）国立公園の境界まで越え、２２日に発生して鎮火されるかと思われた蔚山温陽（ウルサン・オンヤン）の山火事も梁山（ヤンサン）に燃え広がっている。ユネスコ世界文化遺産である安東河回村（ファフェマウル）と屏山書院（ビョンサンソウォン）、現存する最高の木造建築物である鳳停（ボンジョン）寺の極楽殿も危機に瀕している。いずれも墓参客などの失火が原因と推定される。

韓国政府は、国家災難事態を宣言し、鎮火作戦を展開しているが、強風注意報に乾燥注意報まで発令される中、消えたり再燃したりを繰り返す山火事になす術がない。現地の住民は、「火の粉が北朝鮮の放射砲のように飛んできて、村全体を瞬く間に覆い尽くした」と語った。火の粉が強風に乗って瞬く間に飛んできて大火を引き起こすうえ、住民の大半が高齢者であるため、被害が拡大している。電気と通信が断たれ、村長と村の職員が家々を回って避難させている。山火事が拡大しているため、先制的な避難誘導が必要だ。

消火隊員の疲労も蓄積している。義城の山火事を消火していたヘリコプターが墜落し、操縦士１人が死亡したほか、消防士の負傷も相次いでいる。山火事の消火に不可欠な大型ヘリコプターは５機しかなく、中小型ヘリコプターも相当数が部品調達ができず、無用の長物となっている状況だ。２７日には雨が降るとの予報だが、降水量は少ないという。利用可能な資源を総動員して火を食い止め、２万７千人を超える被災者への支援と住宅、文化財、寺院など建物２０７か所の被害復旧に全力を尽くさなければならない。