
「フランス人が今ドイツ語を話していないのは米国のおかげだ。この偉大な国に感謝すべきだ」
米国とフランスの友情を象徴するニューヨークの名物「自由の女神像」が、第2次トランプ政権発足後、両国間の対立の象徴として浮上した。欧州議会議員でフランスの中道左派政党「プラス・ピュブリック」共同代表のラファエル・グリュックスマン氏(45)は16日、トランプ大統領の親ロシア路線、海外援助の縮小などを批判し、「自由の女神像を返してほしい」と主張した。
すると、米ホワイトハウスのキャロライン・レビット大統領報道官は17日、第2次世界大戦中、ナチス・ドイツに占領されていたフランスは、米国の参戦がなければナチス・ドイツに勝てなかっただろうと反論した。フランスの辛い歴史(ナチス・ドイツの占領)と自尊心(フランス語)に直接言及したという点で、攻撃のレベルが高い発言だった。レビット氏はグリュックスマン氏を「無名の下級政治家」と貶めた。また、「絶対に自由の女神像を返還するつもりはない」と強調した。
ニューヨークのリバティ島にある自由の女神像は、高さ93.5メートル、重さ204トンの大型彫刻物だ。頭には7つの突起がある王冠をかぶり、右手にはたいまつを掲げ、左手には米国独立宣言書を持っている。フランスの有名な彫刻家フレデリック・オーギュスト・バルトルディが制作した。
英国の植民地だった米国は、18世紀後半の独立戦争で英国の宿敵であるフランスから多くの支援を受けた。その後も両国は友好的な関係を維持した。フランスは米国独立100周年を記念し、市民の寄付金でこの女神像を制作し、1886年に米国に贈った。1984年、ユネスコ世界文化遺産に指定された。
グリュックスマン氏は、トランプ氏がウクライナ戦争の終戦過程でロシアのプーチン大統領と親密な関係を築いており、「コスト削減」などを理由に米国の対外援助や科学予算を削減しようとしている点を問題視した。そして、「自由の女神像はフランスにある方がずっと良い」と返還を主張した。
現実的に銅像の移転は不可能だ。ただし、AP通信は、グリュックスマン氏の発言は、トランプ氏の「米国第一」外交、親ロシア路線などがフランスを含む欧州全般にもたらした衝撃波を示していると指摘した。トランプ氏は第1次政権から欧州の国防費増額を強く迫り、再選後には西欧の長年の敵国だったロシアと親密な関係を築いている。これに対し、フランスを含む欧州主要国では、このようなトランプ氏に対応するため、国防費を大幅に増やし、独自の核武装強化まで検討している。
キム・ユンジン記者 kyj@donga.com






