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トランプも市場には勝てない

Posted March. 15, 2025 09:19,   

Updated March. 15, 2025 09:19

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「私はいつも正しい。我々は好況を享受するだろう」

ドナルド・トランプ米大統領は11日(現地時間)、ホワイトハウスでの記者会見で、高率関税政策による景気低迷への懸念を問う質問に対し、このように答えた。同日の記者会見は10日、米ナスダック指数が4%急落するなど、ニューヨーク証券市場が激しくパニックに陥った直後に行われたという点で、トランプ氏の確言に納得することは難しかった。むしろ10日、証券市場暴落の引き金となったトランプの「過渡期(transition)」の発言が真実に近いのではないか。トランプ氏は9日、親トランプメディアに挙げられるフォックスニュースとのインタビューで、今年の景気低迷を予想するかという質問に対し、「(高関税政策には)過渡期があるものだ。私たちがしようとしていることは、米国の富を再び創出する素晴らしいことであり、これには時間が少しかかる」と話した。これに対し、投資家らは、大統領が高関税にともなう景気低迷の副作用を事実上認めたと解釈し、景気下落にフルベッティングした。

事実、景気低迷の有無を判断する根拠となる米国経済指標は、混在したシグナルを送っている。このうち消費部門では、下落傾向がはっきりしている。米商務省によると、1月の個人消費支出(PCE)は前月比0.2%減少し、パンデミック時の2021年2月(マイナス0.6%)以来、約4年ぶりに最大の減少率を記録した。生産部門でも2月、米製造業購買管理者指数(PMI)が前月(50.9)比0.6ポイント下落し、製造業況が鈍化したことが分かった。しかし、高関税により最も懸念される物価は、依然として安定傾向を見せている。2月の米消費者物価指数(CPI)は、前年同月比2.8%の上昇に止まり、市場予想を下回った。雇用部門も2月、非農業部門の雇用が15万1000件増加し、前月(12万5000件)より増えた。2月の失業率は4.1%で、前月比0.1%高くなったが、比較的良好な水準と評価される。

結局、米国内の消費と生産は萎縮したものの、物価と雇用は比較的堅調な流れを見せている状況で、経済主体の心理が決定的変数として働く可能性が高い。問題は、トランプの関税政策が行ったり来たりしており、不確実性を高めているということだ。カナダのメラニー・ジョリー外相は、「30日ごとに、このような『サイコドラマ』を経験することはできない」と吐露するほどだ。

経済において、不確実性は消費者と企業に不安心理を刺激し、消費と投資を萎縮させる。サブプライムモーゲージに対する投資不安が取り付け騒ぎを起こし、景気低迷を触発させた2008年のグローバル金融危機が代表的な事例だ。これと関連して、2月の米消費者信頼指数が前月比7ポイント下落し、2021年8月以降最大の下げ幅を記録したのは尋常でない兆しだ。

古今東西を問わず、市場に勝った統治権力はなかった。トランプ氏が一種の税金である関税で、米国の富を成し遂げようとするなら、アダム・スミスが「国富論」(1776年)に書いた次の一節を再確認する必要があるだろう。「国家を最も低い野蛮から最も高い水準の富裕に導くのに必要なのは、平和と『低い税金』、公正な法執行だけだ。この自然な過程を妨害するすべての政府は、暴圧的にならざるを得ない」