
トランプ米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領が先月28日(現地時間)、ワシントンのホワイトハウスで会い、「ウクライナ戦争」の終結と両国間の鉱物資源協定などをめぐる会談に臨んだが、激しい口論の末、事実上の決裂に終わった。特にトランプ氏は、「あなたにはカードがない」「あなたがしていることは、この国(米国)に対してとても失礼だ」など、意を決したようにゼレンスキー氏を追い詰めた。
ロシアに国土を蹂躙され、絶望的な状況に追い込まれた国のトップを前に、全世界に生中継されるカメラの前で「力の論理」で抑えつけ、強く追い込んだのだ。最近、友好国を含む全世界に対して高率の関税を課し、「通商戦争」に突入した第2次トランプ政権が、安全保障でも徹底した力の論理を前面に押し出している。このため、ウクライナや欧州はもとより、韓国などアジアの同盟国の懸念も大きくなるとみられる。英紙タイムズは、「この衝突は、米国とウクライナの関係だけでなく、今後の国際秩序にも大きな影響を与えるだろう」と伝えた。
トランプ氏は同日、ゼレンスキー氏に「米国の装備品がなかったら、この戦争は2週間で終わっていただろう」とし、「合意しろ、(さもなければ)私たちは撤退する」と迫った。米国の軍事援助なしでは耐え難いウクライナの戦場状況を想起させ、自分の言うことを聞かなければ直ちに軍事援助を中断する可能性まで示したのだ。トランプ氏は、ゼレンスキー氏が「あなたたち(米国)はいい海(大西洋)があって今は実感がないだろうが、やがて感じることになるだろう」とロシアの脅威が今後米国にまで及ぶ可能性に言及すると、「われわれがこの先何を感じるかなど言わなくていい。あなたはそれを押しつける立場にはない」と反発した。弱小国であるウクライナの立場を強調し、不快感を示したのだ。
トランプ氏のこのような発言が公開され、国際社会では「衝撃と恐怖」という反応が出た。トランプ氏が同盟にもとづく伝統的なアプローチではなく、力の論理と取引中心で国家間の関係を設定するということは知られていたが、「トランピズム」(トランプ式政策基調)がこのようにろ過されず公開されたのは前例がないためだ。
このため、米国の同盟と友好国を中心に米国の「安全保障の傘」への依存を減らす「自強論」が広がる可能性があるという観測が流れている。欧州連合(EU)のカヤ・カラス外交安全保障上級代表は、X(旧ツイッター)に、「今日、自由世界には(米国ではない)新しい指導者が必要だということが明らかになった」と投稿した。韓国政府消息筋は、「トランプ氏が『多国主義同盟戦略』に大きな意味を与えないことが明らかになったと言える」とし、「国際秩序も急速に再編される可能性がある」と強調した。
申晋宇 niceshin@donga.com