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大勢となった「低速老化」 食事よりも重要なこと

大勢となった「低速老化」 食事よりも重要なこと

Posted February. 08, 2025 08:36,   

Updated February. 08, 2025 08:36


ファッロ、MCTオイル、防弾コーヒー、ザジキソース。このような異国の食材や食べ物が珍しくないなら、最近のトレンドをよく理解しているということだ。最近流行している「低速老化」の定番食材だからだ。

低速老化とは、健康的な生活を送ってゆっくり年を重ねることを指す。最近、本や動画を問わず、最も人気のあるコンテンツ素材でもある。その中でも、生活の中で簡単に適用できる低速老化の食事法を求める人が多くなった。地中海式、デトックスなどの名称で呼ばれていた健康食のさらなる支流であり、老化を加速させる血糖値のスパイクを防ぐための管理法、細胞の損傷を防止する抗酸化食品の摂取などを強調する。

書店で低速老化が本格的に人気を博したのは昨年からだ。ソウル峨山(アサン)病院老年内科のチョン・ヒウォン教授の『低速老化食事法』がベストセラーになってから、同じキーワードを盛り込んだ本が続々と出版されている。夜勤や過労、流行病のような様々なストレス、溢れる宅配・加工食品によって「加速老化」のペダルを踏んでいる現代人の体を守ろうというのが趣旨だ。

チャンネルAも先月28日から女優の辛愛羅(シン・エラ)がヒーリングが必要なゲストを招待し、低速老化セラピーを提供する「セラピーハウス・エラウォン」を始めた。低速老化というテーマがどれほど人気のある話題になっているかを物語る。老化の兆候に直面している壮年層だけでなく、自己管理に熱心な「2030」世代がこのトレンドをリードするもう一つの主軸である点も興味深い。

低速老化は、かつて流行した「アンチエイジング」とは異なる。食品・美容など産業全般でこの用語をマーケティングに活用したが、今では海外でも低速老化の概念を盛り込んだ「スローエイジング」が一般化している。老化に対する拒否感が強かったアンチエイジングとは異なり、スローエイジングは老化を自然に受け入れる。食事や運動方法だけでなく、心の持ちよう、瞑想などを通じて年齢を問わず、自己効能感と内在的能力を高める。

ただ、残念なのは、スローエイジングのブームが盛り上がっているにもかかわらず、韓国社会ではまだ幸せに年をとることが容易ではないという点だ。年齢で能力、態度を判断する年齢主義(ageism)により、高齢層は良質の仕事を維持することが難しい。統計庁によると、2023年基準65歳以上の高齢者10人中4人が貧困層だ。老人蔑視や嫌悪感も蔓延している。「2024世界幸福報告書」によると、韓国は60歳以上の高齢者の幸福度(59位)が30歳以下の若者の幸福度(52位)に比べて低い国だ。日本、米国の場合、高齢者の順位が若者より高い。

老化を賢く受け入れようという観点から、低速老化のトレンドは歓迎すべきことだ。韓国の高齢化速度は世界最高水準だ。低速老化に対する熱烈な関心が示すように、「どのように年をとるか」は世代を問わず、誰もが関心を寄せるテーマとなった。しかし、幸せな老後を支える装置が不十分な社会における低速老化は、若さへの執着や老化嫌悪のレベルにとどまる過去の流行の繰り返しに過ぎないことを留意しなければならない。