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トランプ氏と李在明氏の違い

Posted February. 04, 2025 09:56,   

Updated February. 04, 2025 09:58

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最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表は2ヵ月前、米メディアとのインタビューで、「私が『韓国のトランプ』だと言う人もいる」と述べ、自身を「現実主義者」と紹介した。政派に極端に偏らない実用主義者ということだ。トランプ米大統領と李氏は強固な支持層があり、司法リスクを抱えているという点では似ているが、経済を見る現実感覚は似ている点よりも異なる点が多い。

トランプ氏と李氏はいずれも「人工知能(AI)のような先端技術への投資を重視するが、アプローチは異なる。李氏は新年記者会見で「人工知能時代の基本的な生活が保障される暮らしは避けられない歴史の流れ」と述べ、AIの雇用代替を既成事実とし、基本所得に対する未練を捨てなかった。トランプ氏は、米国に挑戦する中国の現実的な脅威に注目し、AI先端技術を産業と国家安全保障が連携した覇権競争の枠組みで捉えている。このような視点の違いは結果に現れている。

トランプ氏は就任初日、180日以内に米国のAI優位性確保のための行動計画策定を指示する内容の大統領令に署名し、中国への先端AI半導体の輸出を禁止する鞭を振るっている。オープンAI、オラクル、ソフトバンクが5千億ドルを投資してAIインフラの確保に向けたスターゲイト・プロジェクトを発表した場にも参加した。AIデータセンター投資拡大のための電力確保支援も約束した。

AI世界最強国にも足元に火がついたが、韓国は口先だけだ。電力消費が多いAIインフラ投資のために必要な電力網拡充特別法、高レベル放射性廃棄物特別法は、「チャットGPTに夢中になっている」という李氏が率いる「共に民主党」が多数である国会の敷居はまだ越えていない。AI投資に真摯な姿勢があれば、このように時間を引き延ばすことはしないだろう。

李氏は、「企業が先頭に立ち、国が後押しして、再び成長の道を開かなければならない」と述べたが、「民間主導の政府支援」というスローガンは、10年以上にわたり政府政策、政治家の公約に常連で登場するスローガンにすぎない。むしろ、李氏は金融会社の最高経営責任者(CEO)たちを呼び出し、「異常なガバナンス構造を革新しなければならない」と政府の介入を当然視した。企業が「投機資本の攻撃を受ける可能性がある」と懸念する取締役の株主忠実義務などを盛り込んだ商法改正案も「共に民主党」が推し進めている。

トランプ氏は、世界が注目する就任式に米国のビッグテックCEOを上席に座らせ、力を与えた。中国のAIスタートアップ「ディープシーク」が10分の1の投資と人員でチャットGPTに匹敵する推論能力を保有する「R1」を公開した際には、「(ディープシークのAIが)米国の製品より速く、はるかに安く見える」と米企業を圧迫した。ライバルの中国を牽制するが、技術を無視せず、自国企業を押したり引いたりしながら競争と革新を引き出すのがトランプ氏のやり方だ。

これまで「747成長」「同伴成長」「創造経済」「包容的成長」「所得主導成長」「公正成長」など政治的スローガンに近い成長論が登場したが、いずれも低成長の沼から韓国経済は抜け出すことができなかった。「黒であろうと白であろうと、ネズミさえうまく捕まえれば良い猫」という李氏は、「成長の機会と結果を共に分かち合う公正成長こそ、実現可能な二極化緩和と持続的成長の道だ」と強調した。公正成長は、与党「国民の力」の安哲秀(アン・チョルス)議員が10年前に提唱したスローガンだ。1%台の低成長が懸念される現実において、成長の機会と結果を共に分かち合うという成長論は理想に近い。

トランプ氏が2度の大統領選挙で勝利したのは、「米国第一」公約が有権者の心を動かしたからだ。李氏がトランプ氏と最も異なる点は、李氏の成長論にまだ人々の胸を躍らせる「キック(刺激)」がないことだ。